英議会は17日、開会式を開いた。総選挙を経て新たに選出された下院議員(定数650)のほか、非公選の上院議員(約780人)が集うなか、国家元首であるチャールズ国王が今会期の重要議題を読み上げるスピーチを行った。

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 この「施策方針演説」は時の政権によって文面が練られる。今回はスターマー首相のもと、14年ぶりの政権交代を果たした労働党政権が草稿を書き、演説は「我が政府は、国に奉仕する政治を行う」で始まった。

 政府が提出する予定の法案は40本。重視するのは「国民全員にとっての安全、公正、機会」という。経済政策では「安定性」を土台として、税制や歳出の変更はすべて、独立機関の評価を受けるよう改めるという。

 選挙で大きな争点となった公的医療サービスの改善に努めるほか、鉄道事業の国有化や公営の再生可能エネルギー会社の設立、移民対策としての新たな国境警備司令部の創設のための法案も提出する。

 演説では、北大西洋条約機構(NATO)への揺るぎないコミットメント(関与・尽力)や核抑止力の維持、欧州連合(EU)との関係強化といった安全保障・外交面にも言及があった。ロシアの全面侵攻を受けるウクライナについては「全面的な支援を継続し、NATO加盟への明確な道筋を与えるために主導的な役割を果たす」とされた。(ロンドン=藤原学思)

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