【ヒューストン=花房良祐】2018〜19年の2回の墜落事故を巡り、米司法省は航空機大手の米ボーイングを詐欺罪で訴追する方針を固めた。ボーイングは司法取引で罪を認めて罰金2億4360万ドル(約390億円)を支払うか裁判で無罪を訴えるかを週内に判断する。
ロイター通信などによると、司法省が墜落事故の遺族と弁護士に伝えた。ボーイングの小型機「737MAX」は機体制御システムに問題があったため、18〜19年に2回の墜落事故を起こして約350人が死亡した。
司法省はボーイングが安全情報を隠蔽したなどとして訴追を検討したが、21年に再発防止策を導入することなどを条件に起訴を見送ることで合意した。24年5月に合意内容を履行していないとして司法省が再び捜査していた。
21年の合意を受けてボーイングはすでに2億4360万ドルの罰金を払ったが、司法省は追加で同じ金額を支払うよう求める。加えて、外部機関が3年にわたり同社の安全対策を監視する措置を導入する。
18〜19年の墜落事故の乗員・乗客の遺族は250億ドル近くの罰金を求めており、求刑内容が軽すぎるとして反発の声もあがりそうだ。
米国の大手上場企業が刑事罰に問われるのは珍しい。同社は国防総省に多くの装備品やメンテナンスといったサービスを提供しており、有罪となれば連邦政府との取引が難しくなる懸念も報じられている。もっとも、例外措置を導入することも可能という。
24年1月には飛行中の「737MAX」の機体に穴が開く事故が発生し、ボーイングの安全に対する姿勢に疑念が深まっている。
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