米薬局チェーン大手ウォルグリーンズは不振店舗の大量閉鎖を検討している=ロイター

【ニューヨーク=西邨紘子】米薬局大手ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスは27日、不採算店舗の大量閉鎖を検討していると発表した。具体的な数は未定だが、米国内約8700店舗の25%を見直しの対象と説明している。

ウォルグリーンズは近年、処方薬の価格引き下げ圧力や、インフレを受けた消費者の買い控えで薬局リテール事業の収益悪化に直面する。2023年10月にトップ就任したティム・ウェントワース最高経営責任者(CEO)は、業績立て直しに向け事業内容の見直しを進めてきた。

ウェントワースCEOは投資家に対し、大規模な店舗閉鎖の必要性について「足元の店舗数は、処方薬の自宅配送など新しい技術の採用が進む以前の計画に基づいており、直近の事業ニーズを反映していない」と説明した。

一方で、薬局店舗を拠点に患者に医療サービスを提供する事業モデルについては「店舗の存在が今後も成長の柱であることに変わりない」と強調した。

近年、米国では薬局で働く薬剤師がワクチン接種など業務多様化による過重労働や人員不足を繰り返し訴えてきた。ウェントワースCEOは閉鎖店舗の人員を他の拠点に異動することで、薬剤師の過重労働などを改善できるとの見方も示した。

ウォルグリーンズが27日発表した24年3〜5月期決算は、売上高が前年同期比2.6%増の363億5100万ドル(約5兆8000億円)、純利益は前年同期の約3倍の3億4400万ドルだった。前年同期に英国薬局事業での無形資産の減損処理があった影響で大幅増益となった。特殊要因調整後の営業利益は6億1300万ドルで、前年同期比36%減と落ち込んだ。

売上高に占める割合が最も大きい米国の薬局リテール事業は、売上高が285億ドルで前年同期比2.3%増、調整後の営業利益は同48%減だった。医薬品値上がりなどで処方薬の売り上げは増えたが、マージン引き下げなどで薬局の処方収入は縮小した。大衆薬や雑貨などの販売減も利益の押し下げの要因となった。

ウェントワースCEOは「米国の消費者の間で買い物を絞り込む動きや、価格に敏感な傾向が強まっている」と厳しい事業環境を指摘。24年8月通期の業績見通しは調整後の1株利益で2.80〜2.95ドルとし、従来予想(3.20〜3.35ドル)を引き下げた。

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