第一三共の新規ADCはFDAの審査終了目標日までに承認を得られなかった

第一三共は27日、米メルクと共同開発する肺がん治療薬候補「パトリツマブ・デルクステカン」の承認申請について、米食品医薬品局(FDA)から承認を見送るとする審査完了報告通知(CRL)を受け取ったと発表した。安全性や有効性に対する問題はなかったが、医薬品製造受託機関(CMO)の査察で指摘事項が生じたという。同社は「FDAの指摘に迅速に対応する」と説明する。

パトリツマブ・デルクステカンは抗体と呼ばれるバイオ医薬品と抗がん剤を組み合わせた「抗体薬物複合体(ADC)」と呼ばれる新規抗がん剤だ。同社の主力抗がん剤「エンハーツ」に続くADC製品として位置づけられており、メルクと開発・販売で提携している。

2023年12月にFDAが承認申請を受理したが、審査の終了目標日だった24年6月26日までに承認ができないとの通知を受け取ったという。FDAからの具体的な指摘内容は開示していない。

パトリツマブ・デルクステカンは進行性や転移性の非小細胞肺がん患者のうち、特定のたんぱく質に遺伝子変異が認められるがんの治療を目的に第2段階の国際共同の臨床試験(治験)が完了していた。

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