NHKプラスで見逃し配信

「午後LIVE ニュースーン」と「国際報道 2024」のコラボ企画は
放送から1週間 NHKプラスで見逃し配信されます。
配信は【6月20日(木) 午後3:54まで】です

午後LIVE ニュースーン

画像をクリックすると見逃し配信が見られます
【6月20日(木) 午後3:54まで】

NHK特派員に聞く

ヨーロッパでいま広がりをみせる、極右政党や右派政党への支持。
田中顕一ベルリン支局長は、対立が深まるヨーロッパ各地に足を運び、人々の変化をつぶさに取材してきました。

極右・右派の拡大は

まず、ヨーロッパ議会選挙の結果についてなんですけれども、視聴者からもですね「極右・右派勢力拡大の根底にある原因、背景は何なんでしょうか」ということで、現地で取材していてどんなふうに感じていますか。

新型コロナの世界的な感染拡大や、またロシアのウクライナへの侵攻によるエネルギー価格の高騰などで、国民の不満が高まっていて、そうした不満がですね、こうした右派や極右の政党に流れたのではないかと考えられています。

今回、ドイツで議席を増やした右派の「ドイツのための選択肢」の支持者を私、取材したんですけれども、その方の中にフォルカー・フラニチェクさんという男性がいらっしゃいました。このフラニチェクさんに話を聞きますと、EUやドイツ政府の環境政策の進め方に不満を感じていることが分かりました。

このフラニチェクさんなんですが、去年の暖房に使うガス代の支払いが1000ユーロ、日本円でおよそ17万円ぐらい増えたと話していらっしゃったんですね。

非常に家計への負担が強まっている中で家計を守るためにいろんな対策をしているときにですね、ドイツ政府がEUの野心的な環境政策、温室効果ガスの削減を実現するために国民の負担を顧みず気候変動対策を進めていると、そのやり方に非常に強い不満を感じていると、そうしたことが彼が「ドイツのための選択肢」を支持する要因の一つになったとおっしゃっていました。

インタビューの中でフラニチェクさんは「自分は不当に扱われている」というふうに話していました。負担を強いられているというかそういう気持ちになっているということの表れではないかと思います。

極右とかっていうと、日本から見てみるとすごく極端な人たちなんではないかというふうに受け取ってしまいがちなんですけれども、フラニチェクさんを取材してみて、別に全然そういうわけじゃなさそうですよね。

フラニチェクさん自身、そういった極端な思想の持ち主ではありませんでした。

一方で「ドイツのための選択肢」はですね、移民に対する排他的な姿勢ですとか、政治家の一部にはですね、ナチスを肯定するような発言も見られるんですね。

ではなぜフラニチェクさんが「ドイツのための選択肢」に票を投じようと思ったかといいますと、フラニチェクさんは実は3年前のドイツの国政選挙にあたる連邦議会選挙では、緑の党という環境政策を推進する党に票を入れたわけなんですけれども、やはりそこでも失望してしまって、ついには他の選択肢がないという、彼の中でそういう思いになり、国民のための政治をするというふうに主張している「ドイツのための選択肢」を選んだという、そういう状況ですね。

既存の政党に失望したという今のお話が印象に残ったんですけども、人々の心の隙間にスーッと入り込む、そんな余地ができているという、そんなところなんでしょうか。

そうですね。私はそう思います。

ドイツで感じる“分断”

次の質問、視聴者からの声ですけども。

「戦争や移民、温暖化とエネルギー問題、ありとあらゆる分野で市民レベルでの対立、分断がエスカレートしていて、このままでは暴力的な衝突にならないかと危惧している」
そんな声もあったんですが、対立分断みたいなところの空気感ですね。

実際暮らして、取材してみて、どんなふうにドイツの変化を感じてますか。

ドイツは非常に社会的に安定していますので、日常的に言い争いとか暴力、乱闘みたいなものを見ることは無いんですけれども、有権者の間で感情的な分断があるなというふうに強く感じますね。右派の「ドイツのための選択肢」に対するデモというのも盛んに行われていて、非常に大規模なものになっています。
そういう中でドイツでもヨーロッパ議会選挙と同じようなタイミングで、政治家が何者かに襲われて大けがをするといった事件も相次いでいます。

対象になっているのはリベラル的な政党の政治家だけではなくて、「ドイツのための選択肢」の政治家が暴力を振るわれるという事件も起きています。

やはり政治的な価値観の違いというのが、感情的な対立にもつながってきているおそれがあるのではないかなと感じます。

【欧州議会選挙 ヨーロッパでいま何が】視聴者アンケートに寄せられた声 - 国際報道 2024 -

【皆さんの声と徹底分析】欧州議会選挙 極右・右派勢力の台頭 ヨーロッパでいま何が

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