国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)の赤根智子所長(67)が就任後初めて来日し、14日、東京の日本記者クラブで記者会見した。各地で戦争が起きている現状を「大きな困難」だとしつつ、「我々としては法の世界で正義を貫くという姿勢を真っすぐに突き進め、他の方面の方々とも呼応した形で、最終的には平和な世界を目指すということに尽きる」と語った。
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ICCは戦争犯罪や人道に対する罪に関わった個人を訴追する機関。赤根氏は判事をつとめた後、今年3月に日本人として初めて所長になった。
ICCは昨春、ウクライナ侵攻に関連してロシアのプーチン大統領に逮捕状を出したが、担当裁判官だった赤根氏はロシアから指名手配されている。またICCの検察局は5月、パレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐり、イスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を請求。イスラエルや米国から強い反発を受けた。
こうした政治的圧力について問われた赤根氏は、個別事件への言及は避けたものの、「ICCの職員や裁判官はこれらに服してはならないという気持ちで、毎日業務に向かっている」と答え、「ICCの司法判断を尊重すべきだという空気を作り出すことが政治的な圧力に対する抑制になる。それこそが法の支配を標榜(ひょうぼう)する日本の方々の役割でもあると思う」と述べた。
ICCへの理解促進が今回の来日の目的の一つだという。日本はICCの分担金の最大の拠出国である一方、日本人の職員数は少ない。また、戦争犯罪や人道に対する罪に関する国内法の整備が不十分だと赤根氏は指摘した。
またアジア太平洋地域のICCの広報を担う地域事務所を置く構想があり、東京は候補地の一つになっていることも明かした。(真野啓太)
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