ニューヨークのウォール街=ロイター

【NQNニューヨーク=戸部実華】13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落して始まり、午前9時35分現在は前日比153ドル52セント安の3万8558ドル69セントで推移している。朝発表の経済指標がインフレの鈍化を示し、米連邦準備理事会(FRB)が利下げに転じやすくなるとの観測を強めた。ハイテク株の一角に買いが入る一方、景気敏感株やディフェンシブ株などが売られダウ平均を押し下げている。

5月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.2%下落し、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.1%上昇)に反してマイナスとなった。前日発表の5月の米消費者物価指数(CPI)も市場予想を下回った。13日朝発表の週間の米新規失業保険申請件数は市場予想に反して前週から増えた。

市場ではインフレや雇用の伸び鈍化を示す指標を受け、FRBの利下げ開始が遅れるとの見方が後退。米債券市場では米長期金利が4.24%と前日終値(4.32%)から低下し、約2カ月半ぶりの低水準を付ける場面があった。

金利低下を受け、株式の相対的な割高感が薄れたとみて高PER(株価収益率)のハイテク株の一部に買いが入りやすくなった。人工知能(AI)関連の業績期待も買いを誘っている。連日でアップルやマイクロソフトが上昇している。ダウ平均の構成銘柄ではないが、半導体のブロードコムが急伸。前日夕発表の決算が市場予想を上回り、業績見通しの上方修正なども好感されている。

半面、ディフェンシブ株や景気敏感株の一角は売りが優勢となっている。ユナイテッドヘルス・グループやアムジェンが下落し、ダウ平均を下押ししている。アメリカン・エキスプレスやキャタピラーも安い。インテルも売られている。

ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は4日続伸して始まった。前日に付けた過去最高値を上回って推移している。エヌビディアやテスラの上昇が目立つ。13日午後に株主総会を控えるテスラは、マスク氏の巨額報酬案が承認されるとの期待もあり一時、前日終値比で8%弱上昇した。

多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も4日続伸して始まり、前日更新した最高値を上回っている。

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