アジア安全保障会議は、アジアや欧米の防衛担当の閣僚らが参加して31日からシンガポールで開かれていて、1日夜は、ウクライナのゼレンスキー大統領が会議へ出席するため、会場のホテルに到着しました。

ゼレンスキー大統領は到着後、SNSに投稿し「世界で最も大きな国が、国境や国際法、国連憲章も無視し、核による脅しに訴えている状況では世界の安全は達成できない」とロシアを非難しました。

ゼレンスキー大統領は会議最終日の2日のセッションで演説を行う予定です。

また、アメリカの国防当局者によりますと、ゼレンスキー大統領はオースティン国防長官との会談も行う予定で、現在の戦況について意見を交わすとしています。

ゼレンスキー大統領が会議に対面で参加するのは、ロシアによる軍事侵攻が始まったおととし2月以降初めてで、ウクライナ東部でのロシア軍による攻勢で厳しい状況に立たされる中、さらなる軍事支援を訴えるものと見られます。

このほか、2日の会議では、中国の董軍国防相が演説するほか、日米韓3か国の防衛相会談なども行われる予定です。

南シナ海情勢めぐり 各国の海上保安機関によるセッションも

「アジア安全保障会議」では、中国が南シナ海で威圧的な行動を強める中、アメリカや日本、東南アジア各国などの海上保安機関によるセッションが開かれました。

このなかで、フィリピン沿岸警備隊のガバン長官は、南シナ海で中国海警局の船がフィリピンの船に対して放水銃を発射し、けが人が出たことについて「放水銃は火災から人命と財産を守り火を消すためにあるもので、放水をして火種をつくるようなことは決してしてはいけない」などと非難しました。

また、アメリカ沿岸警備隊のフェーガン長官は「自国の海域を自国の海上保安機関で管理できるよう能力構築を支援する」と述べて、フィリピン沿岸警備隊などへの支援を強化していく方針を強調しました。

初めて会議に参加した日本の海上保安庁の瀬口良夫次長は「海上保安機関の船舶を現状変更の道具として用いることがあってはならない」と述べた上で、海上保安機関の役割の重要性を強調しました。

中東情勢についても意見交わされる

また「アジア安全保障会議」では1日、イスラエルによるガザ地区への攻撃が続く中東情勢についても意見が交わされました。

この中で、イスラム教徒が人口のおよそ8割を占めるインドネシアの次期大統領、プラボウォ国防相は、アメリカのバイデン大統領がイスラエルがイスラム組織ハマスに対し、戦闘休止などをめぐる新たな提案を行ったと明らかにしたことについて「われわれが進むべき方向性において重要な正しい一歩だとみている」と述べ、戦闘の停止に向けた動きに期待を示しました。

ガザ地区では、インドネシアの人道支援団体が資金援助をして建設された病院もイスラエル軍の攻撃を受けていて、インドネシア政府は、人道状況の悪化に強い懸念を示しています。

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