航空大手の米ボーイングは製造品質問題が発端となり経営が混乱している=ロイター

【ヒューストン=花房良祐】米連邦航空局(FAA)は30日、航空機大手の米ボーイングの小型機「737MAX」について、増産を認めない方針を数カ月間継続すると表明した。ボーイングが製造品質の改善策を導入できるか見たうえで増産の許認可を判断する。FAAのウィテカー長官は同日、「安全への強く揺るぎない責任が必要だ」との声明を出した

737MAXは1月、飛行中に胴体に穴が開く事故が発生した。工場の作業員が非常口を覆うパネルを留め具で固定し忘れたことが原因だった。FAAは増産を認めない方針を示し、3カ月以内に製造品質の改善策を示すようボーイングに指示していた。

ウィテカー長官が30日、ボーイングのデビット・カルフーン最高経営責任者(CEO)らから安全強化策の説明を受けた。会議は3時間に及んだという。

米メディアによると、説明を受けた上で、ウィテカー氏は「今後数カ月」で増産を承認することはないと指摘した。FAAはボーイングの工場に人員を派遣するなどして品質改善が進むか確認を続ける。ボーイングは作業員の訓練強化といった対策を導入する方針だ。

737MAXはボーイングの主力小型機で事故後に納入機数が減少、経営混乱につながっている。24年1〜4月の納入機数は月平均20機強で、23年12月の44機から半分程度に減った。24年のフリーキャッシュフロー(純現金収支)は21年以来の赤字に転落する見込みだ。

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