【NQNニューヨーク=川上純平】29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比411ドル32セント(1.05%)安の3万8441ドル54セントで終えた。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ時期が後にずれるとの見方が根強い。米長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感が意識されたことから売りが広がった。

29日の米債券市場で長期金利は一時4.63%に上昇(債券価格は下落)し、5月上旬以来の高水準を付けた。FRB高官から利下げに慎重な発言が相次いだほか、国債入札で低調な結果が続いたことが金利高につながった。5月中旬にかけての金利低下の流れが逆転し、市場では「金利上昇への警戒感が高まっている」(Bライリーのアート・ホーガン氏)との指摘があった。

ドイツで29日に発表された5月の消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比の上昇率が前の月から上振れし、独長期金利が約半年ぶりの高水準を付けた。日本の長期金利も上昇基調を強めている。海外の金利高が米国債の売りに波及し、米株相場の重荷になった面がある。

ダウ平均は朝に440ドル程度まで下げ幅を広げ、その後はやや下げ渋る展開だった。ダウ平均の構成銘柄ではないが、下落して始まったエヌビディアが上昇に転じ、投資家心理を支えた。人工知能(AI)向け半導体の需要を背景に業績拡大が続くとの期待が買いを誘った。

ダウ平均の構成銘柄ではユナイテッドヘルス・グループの下げが目立った。経営陣が低所得者向け保険事業の先行きに慎重な見方を示し、嫌気された。インテルやキャタピラー、ボーイングにも売りが出た。半面、セールスフォースとアップルは上昇した。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前日比99.300ポイント(0.58%)安の1万6920.580で終えた。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やクアルコムなどが売られた。

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