【イスタンブール=時事】イラン国営メディアは20日、ヘリコプター墜落事故でライシ大統領が死亡したことに伴う大統領選挙が6月28日に実施されると伝えた。イランの選挙は、最高指導者ハメネイ師の意をくむ保守強硬派主導の「護憲評議会」が立候補者の資格を事前審査する。このため、指導部に忠実な保守強硬派を中心に出馬が認められる公算が大きい。

立候補の届け出は今月30日に始まる。3月の国会選挙では穏健・改革派の候補らが失格となっており、市民の間では「選挙制度が不公正」との批判が上がっている。ただ、ライシ師の突然の死去で、強硬派内にも有力候補は見当たらない。モフベル大統領代行や、前回の大統領選でライシ師に敗れた候補らが出馬を模索する可能性が高いが、立候補者の顔ぶれは不透明だ。

一方、バゲリ軍参謀総長は20日、軍の専門家らにヘリ墜落の原因調査を指示した。既に現場周辺の調査に着手したという。19日の墜落当時、現場となった山間部は濃霧で視界が悪く、バヒディ内相は「悪天候が原因だ」と指摘したが、ヘリの「技術的欠陥」との報道もあり、情報が交錯している。

イランメディアによると、友好国ロシアのショイグ安全保障会議書記は、調査を支援する用意があると表明した。また、トルコのアナトリア通信によれば、同国のウラルオール運輸・インフラ相は、墜落ヘリから救難信号などは出されていなかったと述べた。

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