イラン国営メディアは20日、同国北西部の東アゼルバイジャン州でエブラヒム・ライシ大統領(63)を乗せたヘリコプターが墜落し、大統領や同乗していたアブドラヒアン外相ら乗員全員が死亡したと伝えた。
イランの内相はトラブルの原因について、「悪天候のため」と説明していた。ライシ師は19日、隣国アゼルバイジャンと共同で建設したダムの落成式に出るため、国境地帯を訪れていた。国営メディアによると、ライシ師の乗ったヘリは落成式の後、東アゼルバイジャン州の州都タブリーズに向かっていたが、途中で悪天候に見舞われた模様だという。
今後、誰が大統領職の代理を務めるのかなどは明らかになっていないが、ライシ師の外遊時に代役を務めるモフベル第1副大統領が有力との見方も出ている。
ライシ師はイスラム法学者で1960年、イラン北東部マシュハド生まれ。検事総長や司法長官などを経て、2021年6月の大統領選(任期4年)で初当選した。
政治的な立場としては、反米保守強硬派として知られた。22年9月、イラン女性に着用が義務づけられた布「ヒジャブ」のかぶり方をめぐって22歳の女性マフサ・アミニさんが逮捕された後に急死し、全土に抗議デモが広がると、治安部隊を投入してデモ隊を鎮圧。一方、外交面では昨年3月、16年から断交していたサウジアラビアとの関係を正常化するなど、近隣国との融和を進めていた。(テヘラン=佐藤達弥)
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