16日、北京での「中ロ国交樹立75周年」を祝うコンサートで握手するロシアのプーチン大統領㊧と中国の習近平国家主席=AP

中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席とロシアのプーチン大統領が16日、北京で会談した。中ロはウクライナの領土保全をないがしろにする形の和平を探っている。世界秩序への危うい挑戦は、断じて許されない。

プーチン氏は7日の通算5期目の就任式以来、初の外遊先に友好国の中国を選んだ。世界で孤立を深める中、ウクライナ侵略を続けるために経済的、政治的支援の継続を取り付ける目的があった。

中ロ首脳会談ではウクライナを巡り踏み込んだ協議があった。ロシア軍の攻勢を受けロシアに都合の良い和平を模索している。国際社会は警戒を強め、ウクライナ軍事支援を強化する必要がある。

仮に中ロが和平を主導すれば、ロシア軍の全面撤退が遠のく恐れがある。16日発表の共同声明はウクライナの領土の一体性の尊重を明記しておらず、看過できない。中国は力で国境を変更するロシアの試みを容認してはならない。

タス通信によると、習氏は和平に建設的役割を果たすと述べながら、ロシアとウクライナが「平等な条件で」参加する和平会議の開催を支持した。侵略国家とウクライナを同列に扱うべきではない。

共同声明には、合同演習と海空の合同パトロールを含む軍事分野の協力も盛り込んだ。衛星ナビゲーションシステム分野での協力もうたった。習氏は、先端技術やサプライチェーン(供給網)の安定を巡る協力強化にも言及した。

これはウクライナを一方的に侵略しているロシアの軍事力を裏から支え、幅広く底上げする点で、むしろウクライナ和平への道を阻害する動きと言わざるを得ない。中国は自制すべきである。

ロシアは軍民両用の物資の多くを中国から調達している。米国は工作機械やマイクロ電子技術、弾薬などに不可欠な材料について、中国がロシアへの最大の供給源だとして供給停止を要求している。

習氏は先の中仏首脳会談で、ロシアに武器を売らないことや軍事転用が可能な材料の輸出を厳しく管理すると約束したという。今回の軍事を含む中ロ協力の強化という合意と矛盾している。

中ロ首脳は会見などで米国批判を展開した。共同声明でも「覇権主義」やアジア太平洋地域での軍備拡張を指摘し、既存の国際秩序に挑戦する姿勢を強めた。世界分断の試みであり、日欧米などは結束を強めて対抗すべきだ。

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