ローレンス・ウォンさん(51歳)

 20年間にわたってシンガポールを率いたリー・シェンロン氏(72)の後任として、15日に第4代首相の座に就いた。

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 中産階級の家庭で育った。中国生まれで営業職の父と教師の母の下、少年期を東部マリンパレード地区の公団住宅で過ごし、米国で経済学と行政学の修士号を取得。帰国後は貿易産業省や財務省、保健省で官僚のキャリアを積んだ。

 知識の豊富さから「政策マニア」とも評される。リー前首相の秘書官を務め、2011年に政界入り。リー氏らに続く「第4世代」の若手指導者として与党を引っ張り、首相就任前は副首相兼財務相として政権を支えた。

 国内で知名度を強固にしたのは、新型コロナウイルスへの対応だった。

 20年にコロナ対策チームの共同委員長に就任すると、多くの国が急速な感染拡大や医療の逼迫(ひっぱく)にあえぐ中、厳しい規制で抑え込みに成功。当時、国会で涙をこらえながら医療従事者への敬意を語ったシーンが国民の間で話題となった。

 「多様性の尊重」が信条。15日の就任式ではシンガポールが多民族、多宗教の国であることを挙げ、「違いを受け入れ、妥協点を求め、共通点を見いだす。引き算ではなく常に足し算をして、国を強くしていく」と語った。英語のほか、マレー語と中国語でスピーチする場面もあった。

 趣味は8歳の時に父から与えられたギター。演奏動画を動画投稿アプリ「TikTok」にアップしている。読書家でもあり、14日のテレビ局の取材に「主にノンフィクション。時事問題が多く、最近は量子コンピューターや人工知能関連の本などを読んでいる」と語っていた。(シンガポール=大部俊哉)

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