アナログゲームの祭典・ゲームマーケットには,ボードゲーム以外にも幅広いジャンルのアナログゲームが出展されている。テーブルトークRPGもその一つで,2024年11月26日と27日に開催された「ゲームマーケット2024秋」の会場には,大手メーカーから個人制作のいわゆる同人作品まで,さまざまな新作が出展されていた。



 本稿では,その中から同人テーブルトークRPGにフォーカスを当て,写真と共に紹介していく。気になるタイトルを見つけた人は,ぜひそれぞれの公式サイトなどをチェックしてみてほしい。

アルゴラインズの「ドラゴンキャッスル」は,ベーシックなファンタジー世界を舞台としたテーブルトークRPGだ。6面ダイス1個を用いるコンパクトなルールで,短時間で遊べる手軽さがウリになっている

アルゴラインズ代表の森さとる氏(左)と,同作のシステムデザインとイラストを担当した牧野 円氏(右)

サークル・抹茶の日では,「光明のカンナギ戦記」のサプリメント「神域探訪 壱」が頒布されていた。同作は《ケガレ》に対抗する巫女達の活躍を描いたタイトルで,サプリメントには追加設定に加えて4本のシナリオが収録されている

抹茶の日代表のにーてん氏

「クトゥルフ神話TRPG」のシナリオ集「水底に吼え」「肆腳凾−狸ノ章・狐ノ章−」を頒布していたサークル・人生遊戯同好会。ほか朱鷺田祐介氏の「比叡山炎上」を現代日本で遊ぶコンセプトのアンソロジーシナリオ集「肆?凾(よつあしばこ)」もラインナップされていた

人生遊戯同好会代表のきると氏。左手に持っているのは,上記の三冊の同時購入でもらえる専用のボックスケースとのこと

Code:E/エフェメラの「せかいじゅごはん」は,異世界食堂を運営するテーブルトークRPG。キャラクターは世界樹がもたらす食材を調理し,依頼を遂行してお店を盛り上げていく。写真はイラストとシステムデザインを手掛けた杏朱ロゼ氏

奏夜丘の「カレイドフライト」は,“バディ航空ファンタジー”を謳う少人数向けのテーブトークRPG。プレイヤーは魔導飛行機の「パイロット」と「ナビ」となり,さまざまな見ションに挑んでいく。画像は「カレイドフライト」のデザイナー,奏夜丘(そーやきゅー)氏

たこうさ出版の新作「さようなら、またこんど」は,駅までの帰り道を友人と並んで歩くシチュエーションに特化したテーブルトークRPG。GMレスの2人プレイ専用で,プレイ時間も1〜2時間と短時間で楽しめる

たこうさ出版と共同出展していたヨスガラクエンは,「サヨナラドライブ〜The Space, Your Voice and My Journey.」の拡張データ「Someday,See you again!」をリリース。宇宙を征く旅人同士の刹那の交流を描く,こちらも少人数向けのテーブルトークRPGとなっている

欲張りオンラインの新作「まりんちゅライフ!」は,“かわいそうはカワイイ”をテーマ(?)にしたテーブルトークRPG。プレイヤーは海の小人さん“まりんちゅ”となり,忘れ物を求めて水没した都市を探索していく。画像は欲張りオンライン代表の寿卓 司(ことぶきたくし)氏

アンデス空手部の新作「断定世界のイヴ」。プレイヤーは,重なり合った世界から一つを選び取る役目を負った“イヴ”となり,滅びを回避するための葛藤と決断に身を委ねていく

煙草屋製作所の「ギャップおじさんTRPG」は,異能を持ったおじさんたちが日常の脅威に立ち向かうテーブルトークRPG。サイコロフィクションをベースにしたシステムを採用し,ルールはWeb上でも公開されているが,本作はその書籍版にあたる。画像は煙草屋製作所代表の煙草屋氏

同人テーブルトークRPGの中でも一際異彩を放っていたのが,ブースターSTARの「救世主のママになるTRPG MMM」だ。プレイヤーは滅亡した世界を救う救世主……ではなくその教育係たるママとなり,その育成に奮闘していくことになる。画像はブースターSTARの亜椅子氏

 伝統的なテーブルトークRPGとは少し趣を異にするが,近年,国内外を問わず流行しているのが“ソロジャーナル”とよばれる一人用のアナログRPGだ。テーブルトークRPGのソロシナリオや,ゲームブックとも隣接する遊びだが,何らかの形でプレイの履歴(例えば日記など)を残すことで自身の物語を作り上げていく点が,先行ジャンルとの違いとして挙げられる。

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1人用アナログRPG「Thousand Year Old Vampire」の日本語版が4月10日に発売へ。千年を生きる吸血鬼の人生を綴る傑作ソロジャーナル

 FrogGamesは,1人用アナログRPG「Thousand Year Old Vampire」の日本語版PDFを,2023年4月10日に発売すると発表した。DLsiteによる専売で,価格は2200円(税込)だ。Tim Hutchings氏が2018年に発表し高い評価を受けたソロジャーナルが,いよいよ日本語で楽しめるようになる。

[2023/04/03 13:49]
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 今回のゲームマケートでは,同人でもいくつかのソロジャーナル(あるいはゲームブック)作品がリリースされていたので,ここで合わせて紹介してみたい。

ドラコニアンの「ソウルドーナ -その願いは緋色-」(著:瀧里フユ)は,どんな願いもかなえる悪魔となったプレイヤーと,その封印を解いた人間の旅を描いたソロジャーナルだ。読むだけで進められるので,ルールを覚える必要がないのが特徴とのこと

「:プレイ・バイ・レター」で知られるサイコロウパルの新作は,ゲームブック「Good Night Tale」と,ソロジャーナル「リフレクテリーへの招待状」。前者は同サークルの「クトゥルフ神話TRPG」用シナリオ「星の神話、エンドロール」のスピンオフ作品となっている

サイコロウパルの賽子楼ぱる氏

FT書房は,ゲームブック「ローグライクハーフ」の新作シナリオ「〈四猫亭〉の幽霊」をリリースした。自治都市トーンを舞台にしたシティアドベンチャーで,新職業の吟遊詩人や自治都市トーンのデータも収録されている

こちらは同じく「ローグライクハーフ」のサプリメント「アランツァクリーチャー事典+シナリオ作成ガイド」。約240種のモンスターがイラスト付きで紹介されているほか,トラップやイベント,アイテムなどのデータも収録されている

FT書房代表の杉本=ヨハネ氏

 「クトゥルフ神話TRPG」の隆盛と共に,海外とは別の進化を続ける国産テーブルトークRPG。中でも同人作品はその最先端とも言え,バラエティに富んだテーマの多種多様な作品が会場を賑わしていた。
 マーダーミステリーやソロジャーナルのように,そこから派生して生まれる新たなジャンルもあり,この場が多くのゲーム,あるいはクリエイターのゆりかごとなっていることは疑いようもないだろう。今後も同人テーブルトークRPGの発展と進化から目が離せない。

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