アクワイアは本日(2024年4月26日),「剣と魔法と学園モノ。-Anniversary Edition-」(PC / PS5)と,「剣と魔法と学園モノ。2G Remaster Edition」(PC / PS5 / Switch)を発売した。


 「ととモノ。」の愛称で知られる本シリーズは,PSP用ソフトとしてリリースされた3DダンジョンRPGだ。1作目である「剣と魔法と学園モノ。」は2008年6月26日に登場し,シリーズ10周年を迎えた2018年には,ギャラリーモードなどを追加した「剣と魔法と学園モノ。-Anniversary Edition-」が,Switchに向けて発売されている。

「剣と魔法と学園モノ。-Anniversary Edition-」のギャラリーモードでは,美術鑑賞や音楽鑑賞などが楽しめる

 また2作目の「剣と魔法と学園モノ。2」(2009年6月25日発売)は,ビジュアルとボイス,カスタマイズ面を強化した「剣と魔法と学園モノ。2G」が,2010年にPS3用ソフトとしてリリースされている。「剣と魔法と学園モノ。2G Remaster Edition」は,そのリマスター版となる。
  本シリーズはオーソドックスなシステムを持つ3DダンジョンRPGだが,学園が舞台ということもあり,プレイヤーは種族と学科(職業)を組み合わせてキャラクター(生徒)を作成,パーティ編成して迷宮の攻略や学園からの課題に取り組みながら迷宮の謎を解いていく。


 登場するキャラクターは,うし氏と病氏によって可愛らしく描かれている。しかし,キャラクターの育成や素材を集めてのアイテム製作,戦闘における有効なパーティ編成や有効な立ち回りの組み立てなどをしっかりと進めないと迷宮の攻略は難しく,無策でプレイをすると痛い目を見る。

 本稿では,そんな「剣と魔法と学園モノ。-Anniversary Edition-」と「剣と魔法と学園モノ。2G Remaster Edition」を,新しく登場した要素なども含めて紹介していく。



「剣と魔法と学園モノ。-Anniversary Edition-」



 Nintendo Switchに続き,PCとPS5でも遊べるようになった「剣と魔法と学園モノ。-Anniversary Edition-」は,オリジナル版に追加要素を盛り込んだ記念作品だ。

 プレイヤーは,世界中に出現した地下通路の謎を解くため,冒険者養成学校「パルタクス学園」に入学した生徒たちを編成し,謎多き迷宮へと挑むことになる。学園内の人たちから頼まれた依頼を達成していくと,探索できる範囲が広がっていく。そして,さらなる迷宮に向かうことで,物語の核心に迫っていくのだ。


 キャラクターの作成となる「入学」では,性別,性格のほか,10の種族と15の学科(職業)から1つずつ選択し,新入生を迎え入れる。
 パーティは最大で6人編成だが,前衛と後衛はともに3人と決まっている。前衛には戦士や侍などの直接攻撃をするキャラクターを,後衛には魔術師や僧侶などを編成すればいいだろうとつい考えてしまうが,そう単純な話とはいかないのが「ととモノ。」なのである。
 キャラクターの種族や性格にはそれぞれ相性があり,その良し悪しでステータスが変化するため,相性を考慮に入れて編成を組まなければならないのだ。

性格は「善」「中立」「悪」の3種類。当然互いの相性は良くない

 しかし,相性の良い種族と性格だけで編成すればいいわけでもない。種族に対する学科の適性はシビアに設定されているので,同種族だけだと,かなり偏ったパーティになってしまうからだ。
 戦いや探索を有利に進められる「敵グループにダメージを与えるブレス」「ダンジョンにあるトラップを解除」「トラップを踏まないための魔法」「マップの表示」「お金をかけずに錬金が行える」……といった技能は,特定の種族や学科の生徒しか使えないので,編成にはつねに頭を悩まされることになるだろう。

 もちろん,同種族だけのパーティがまったく成り立たないわけではない。相性や性格は,あとから変えられるし,「転科」を使えば一部の魔法やスキルを覚えたまま,別の学科に移ることも可能だからだ。ただ,非常に手間と時間がかかるので,プレイ序盤ではあまりオススメしない。やり込み要素のひとつとして考えておいたほうがいいだろう。


 たった6人の組み合わせでも,無数の「パーティ編成論」が生まれる「ととモノ。」。絡む要素がとにかく多いので,最初から完璧を目指すことは難しい。まずは適当な編成で戦闘を経験してみて,気になる点を改善していくのもありだろう。いや,むしろ試行錯誤を繰り返してパーティの性能を研ぎ澄ませていくことこそが,本作の大きな楽しさなのかもしれない。

誰をどう編成するか。指針が決まっていないうちは,とにかく実戦で慣れていこう

 「Anniversary Edition」には,さまざまな画像や漫画などを収録した「美術鑑賞」,BGMを楽しめる「音楽鑑賞」といったギャラリーモードが追加されている。
 また,過去全シリーズの制服が着用できる「試着室」や,イベントモンスターと何度でも戦える「闘技場」が楽しめるほか,「BGM変更」と「難易度変更」も用意されている。
※試着室と闘技場は,ストーリーを進めることで開放される

美術鑑賞には,販促物や暑中お見舞いなどで使用された画像などが100枚以上収録されている

シリーズ全タイトルを網羅したBGMが聞き放題。好きな曲だけを集めたセットリストも組める

 こだわりを持って編成したパーティと,彼らによる迷宮攻略。そこの楽しみにもうひと味加えてくれるのが,学園の実験室で行える「錬金」だ。これは,アイテムの合成・分解・強化を行えるもので,素材は学園の購買部や店で買えるほか,迷宮内でも入手できる。
 製作できるアイテムの種類も多く,錬金だけでいくらでも深く追求できる。パーティ編成,ダンジョン探索,錬金と,いずれもかなり深い沼となっているので,一度ハマってしまうと,かなりの時間抜け出せないことを覚悟しておこう。


 なお難度設定が追加されていることもあって,シリーズ初プレイという人でも遊びやすくなっている。今まで「ととモノ。」に縁がなかった人,難しそうだからと敬遠してきた人が始めるのにもおすすめしたいタイトルだ。

 しかし,オリジナル版は16年前にリリースされた作品ということもあり,ゲーム中でのシステム説明は少し不足気味。今どきのゲームのように,親切なチュートリアルが始まり,プレイしているうちに遊び方が自然と身に付く……というわけにはいかないので,プレイヤー自身で学んでいく必要もある。少々面倒と思うかもしれないが,できればその点も楽しんでほしい。



「剣と魔法と学園モノ。2G Remaster Edition」



 本作は,シリーズ2作目の「剣と魔法と学園モノ。2」をフルボイス化し,ビジュアルやカスタマイズ要素なども強化した「剣と魔法と学園モノ。2G」のリマスター版だ。PC版とPS5版だけでなく,Switch版も初登場となる。

冒険者養成学校は「クロスティーニ学園」。前作とは違い,クラスやクラスメイトの描写が多い

 入学→編成→クエスト受注→ダンジョン探索→帰還→行動範囲拡大,という基本的な流れは前作と同じだ。しかし,UIやメニューの推移など,細かい点はブラッシュアップされて遊びやすくなった。
 また生徒の種族数は10種類と変わりはないが,学科数は19種類に増加。雨,晴れ,雪,霧など,パーティの活動に影響が出る「天候」の要素も追加され,戦術に深みも増した。

 さらに大きな変化として,より「学園モノ」らしくなったことが挙げられる。ストーリーには,さまざまな理由でクロスティーニ学園へと入学してきた生徒や,個性豊かな先生などが多く登場し,彼らとの交流やイベントも発生する。


保健室の先生。ちょっと怪しげ

古式ゆかしい高慢ちきなライバルキャラっぽい少女など,魅力的なNPCは相変わらず。いや,さらに個性豊かなラインナップになっているかも……

 「Remaster Edition」では,種族や学科のグラフィックスも大幅に増えている。さらに,新たに書き起こされたストーリーも追加されているので,オリジナル版を遊んだことがある人でも,新鮮な気持ちで楽しめるだろう。

 数々のデータを分析し戦略を組み立てて勝ち筋を見出していく「戦闘」や,膨大な素材からアイテムレシピを見出し作り出ていく「錬金」,未知のダンジョンに挑みコツコツとマップを踏破していく「探索」などは,1作目からよりやりごたえのある内容にパワーアップしている。「手間をかけ,積み上げていく」充実感が増しており,さらに沼にハマること間違いなしだろう。本作もぜひ,シリーズファンだけでなく未プレイの人にも遊んでほしい。


 本日発売された「剣と魔法と学園モノ。-Anniversary Edition-」と「剣と魔法と学園モノ。2G Remaster Edition」は,いずれも価格が2980円(税込)※。知る人ぞ知る作品を,令和の今に再び体験できるチャンスなので,気になった人は,ぜひ「ととモノ。」の世界に飛び込んでみてほしい。
※Nintendo Switch版「剣と魔法と学園モノ。-Anniversary Edition-」の価格は,2480円(税込)です

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