ドイツ時間2024年9月4日,Acerは,ドイツのベルリンで開催中の家電見本市「IFA 2024」に合わせて製品発表会を開催し,今後発売を予定する新製品を多数披露した。本稿ではゲーマー向け製品ブランド「Predator」と「Nitro」の新型PCや周辺機器を中心に紹介する。

発表会の中心となったのは,Microsoftが提唱するノートPCの新たなブランド「Copilot+ PC」に準拠したPCだが,ゲーマー向け製品にも注目すべきものが多かった

 Predatorブランドでは,ゲーマー向けノートPCのコンセプトモデル「Predator Project DualPlay」(以下,Project DualPlay)に注目だ。Project DualPlayは,一見すると厚みのある大型ノートPCだが,キーボードの下側にあるトラックパッド部分にゲームパッドを内蔵しているのが見どころになっている。
 キーボードとマウスでゲームをプレイするゲーマーに加えて,ゲームパッド派にも対応することから“DualPlay”という名称を付けたとのことだ。

Project DualPlay。キーボードのサイズから推測すると,16インチ級モデルと思われる


 Project DualPlayのゲームパッドは,かなりの大きさで,一般的なゲームパッドと比べても遜色ない。その分,ボタンのサイズや配置にも余裕がある。なお,このゲームパッドはトラックパッドとしても使っているので,背面にタッチパネルを搭載しているのだが,ゲームパッド状態でタッチパネルを使えるかは分からない。

取り出したゲームパッドは,一般的なゲームパッドと比べても遜色ない大きさだ。ボタンとスティックの配置はXbox風レイアウトを採用する

ゲームパッドを取り外したPC。ポゴピンが確認できるので,これによりゲームパッドへの充電や設定を行うのかもしれない

 また,Project DualPlayのゲームパッドは,左右部分を取り外すことも可能で,それぞれ別個のゲームパッドとしても利用できるようだ。

ゲームパッドの左右を取り外して,2人で利用できる

 本稿執筆時点で,Project DualPlayの具体的なスペックは明らかになっていない。コンセプトモデルがそのまま販売となるケースは少ないが,裸眼立体視対応のディスプレイを搭載したゲーマー向けノートPC(関連記事)や,マッサージ機能付きコックピット(関連記事)といったユニークな製品を投入してきたAcerであれば,もしかするとProject DualPlayも製品化されるかもしれない。

 Predatorでは,ハイエンド市場向けのデスクトップPC「Predator Orion 7000」も登場した。Orion 7000は,Intelが2024年後半の投入を予定する新型CPU「Arrow Lake」(開発コードネーム)を採用するという。GPUは,NVIDIAの「GeForce RTX 4090」まで搭載できる。

Orion 7000

 Orion 7000は,PCケースのフロントファンに独自の3連ファン「CycloneX 360」を組み込んでいるのも見どころだ。両端と中央のファンで回転方向が異なり,これによりケース内の風量が増すとのこと。簡易液冷クーラーのファンにもCycloneX 360と同じ仕組みを採用しており,マザーボードの温度を最大9℃下げられるとAcerはアピールしている。

3連ファン「CycloneX 360」。両端と中央のファンでそれぞれ回転方向が異なる

 また,Orion 7000のPCケースには,天面にホットスワップに対応したM.2スロットを備え,カートリッジに装着したM.2 SSDをリムーバブルメディアとして利用できる。

M.2 SSDを装着できるカートリッジ

PCケースの天面にカートリッジを挿入できるスロットがある

 このほかでは,27インチサイズのゲーマー向けディスプレイ「Predator XB273U F5」にも注目だ。本製品は,解像度2560×1440ドット,垂直最大リフレッシュレート360Hzの液晶パネルを採用したeスポーツ向けのディスプレイで,ディスプレイ同期技術としてNVIDIAが提供する「G-SYNC」の新機能「G-SYNC Pulsar」に対応するのがポイントだ。
 G-SYNC Pulsarは,2024年1月にNVIDIAが発表した機能で(関連記事),可変オーバードライブとバックライトストロボ技術を組み合わせることにより,鮮明な画面表示を実現するという。

XB273U F5。MediaTek製のG-SYNC対応ディスプレイコントローラを採用するそうだ

 続いて,Nitroブランドの製品を紹介しよう。目玉となるのは,携帯型ゲームPCの「Nitro Blaze 7」だ。本製品は,7インチサイズで解像度1920×1080ドット,最大リフレッシュレート144Hzのディスプレイを採用したPCだ。

Nitro Blaze 7

Nitro Blaze 7の背面。2つの排気孔が目立つ

上側面には[電源]ボタンと音量調整ボタン,USB Type-Cポートを搭載する

下側面には,microSDカードスロットと3.5mmミニピンヘッドフォン端子,USB Type-Cを備える

 搭載CPUは,AMDの「Ryzen 7 8840HS」でメインメモリ容量は16GB,内蔵ストレージ容量は最大2TBと,2024年の携帯ゲームPCとしては標準的なスペックといえるだろう。
 Nitro Blaze 7は,携帯ゲームPCとして後発組の製品となるので,競合製品にない特徴的な要素がほしいところだが,今後の続報に期待したい。

 また,ノートPCの新製品として,14.5インチ級の「Nitro V14」と16インチ級の「Nitro V16」も発表となった。いずれもミドルクラス市場向けの製品だ。
 Nitro V14は最上位構成で,CPUにAMDの「Ryzen 7 8845HS」,GPUにNVIDIAのノートPC向け「GeForce RTX 4060 Laptop GPU」を搭載する。また,ディスプレイには,解像度2560×1600ドット,最大リフレッシュレート120Hzの液晶パネルを採用している。

Nitro V14

 一方のNitro V16は,最上位構成でCPUにIntelの「Core i7 14650HX」を,GPUにNitro V14と同じGeForce RTX 4060 Laptop GPUを搭載するノートPCだ。ディスプレイは,解像度2560×1600ドット,最大リフレッシュレート180Hzの液晶パネルを採用しており,より高フレームレートでゲームをプレイしたい場合は,こちらを選ぶといいだろう。

Nitro V16

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