2020年に「ボーダーランズ3」(PC / PS4 / Xbox One / PS5 / Xbox Series X)に実装された,「ボーダーランズ・サイエンス」というミニゲームを覚えているだろうか。プレイヤーは4種類のタイルをルールに従って並べていくというパズルゲームを遊ぶことで,人体に棲む腸内細菌の進化的な類縁関係を推定することに貢献する……というものだ。


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「ボーダーランズ3」に,プレイすればするほど科学に貢献できるゲーム内ゲーム「ボーダーランズ・サイエンス」が登場

 2KとGearbox Softwareは本日,「ボーダーランズ3」のゲーム内ゲームとなる「ボーダーランズ・サイエンス」を実装したと発表し,内容を紹介するトレイラーを公開した。プレイすればするほど,人体の腸内微生物の研究に役立つうえ,報酬ももらえるという。

[2020/04/08 14:55]
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  • 編集部:松本隆一

 自分で載せておきながら我々も存在をすっかり忘れてしまっていたが,あれから4年が経ち,ようやくその成果が世に出てきた。科学誌「Nature Biotechnology」に2024年4月15日付で,「Improving microbial phylogeny with citizen science within a mass-market video game」(市民科学を市販ゲームに組み込み,微生物の系統発生を改善する)という題の論文が掲載された。そこには,「Borderlands Science players」という名が,共著者として連ねられているのだ。

※シチズン・サイエンス(citizen science,市民科学)とは,昨今注目されている研究様式。研究のすべてまたは部分的な箇所を,市井のアマチュア科学者(≒一般市民)によって行うことをそう呼ぶ

Nature Biotechnologyより

 腸内細菌は私たちの健康に深く関わっているが,その全貌はまだ解明されていない。この研究では,腸内細菌のDNA配列データをゲーム内のカラフルなブロックで表現し,ゲーマーがそれらを並べ替えることで,コンピュータでも扱いづらい,細菌の進化的な類縁関係を推定する課題に取り組んだ。
 今回の研究は,マギル大学の研究者らが主導し,ゲーム制作会社のGearbox Entertainment Company,IT企業のMassively Multiplayer Online Science(MMOS),カリフォルニア大学サンディエゴ校のThe Microsetta Initiativeらとの共同で行われた。
 2020年4月の実装から約1年の間に,450万人のプレイヤーが1億3500万以上ものパズルを解き,専門家集団をも上回る規模と精度の解析を成し遂げたという。プレイヤーから得られた膨大なデータは,今後のAI開発にも役立つと期待されている。


 論文筆頭著者のJérôme Waldispühl准教授は,「ボーダーランズ3のようなメジャーなゲームのプレイヤーが興味を持ってくれるかどうか,また彼らの結果が微生物の進化について既知の知識を超えられるかどうかは分かりませんでした。しかし,私たちはその成果に驚嘆しています」と述べた。「ボーダーランズ・サイエンス」のプレイヤーは,研究チームが10年前に開発した類似のゲーム「Phylo」の10年分のデータ量を,わずか半日で5倍に増やしたことも明らかになっている。



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