ドイツのケルンで2024年8月21日〜25日に開催された「gamescom 2024」のFulqrum Publishingブースにて,最新作「Decadent」(PC / PS5 / Xbox Series X|S)のライブデモが公開されていたので紹介しよう。


 2021年に創業以来,これまで本作の開発を続けてきたというIncantation Gamesの手掛ける「Decadent」は,第一次世界大戦に従軍して生死を彷徨ったことで,退廃的(英語で“decadent”)な神秘学に目覚めた冒険家ジョン・ローンが主人公となる,1920年代のシベリアが舞台のホラーFPSだ。


 ミスカトニック大学遠征隊が北極に向かう途中のシベリアで行方不明になったことで,単身で捜索に乗り出すよう依頼されるが,ジョンはオカルト研究における失敗で左手の甲に不気味な目だけの物体に寄生されており,さらに息子の失踪で精神的にも不安定な状態になっている。そんな中で,森林からツンドラ,さらには氷河の山岳地帯までを旅することになる。


 この「Decadent」は,クトゥルフ神話を生み出したことで知られる作家H.P.ラヴクラフトの怪奇小説の1つである「狂気の山脈にて」にインスパイアされていると,ライブデモを紹介してくれたMichal Černoch(ミハル・チェルノッチ)氏は説明する。1人称視点で描かれる本作について,氏が「何をおいても,まずはFPS」と語るだけあり,デモでは1920年代のピストルやライフル銃など数々の武器がフィーチャーされ,手際良く戦うゲームプレイが披露された。
 燃え盛る森林地帯を背景に,小説で描かれたエルドリッチ(※超自然的な現象や不気味なもの)の実験で生まれた“時空の向こうで生息するグロテスクなクリーチャー The Weirds(ウィアーズ/奇怪生物)”と戦うジョン。ときおりクリーチャーの風貌が一瞬だけ,毛皮をまとった普通の人の姿になるシーンが紹介されており,ジョンは幻覚と現実の境界が分かりづらくなっている様子で,これによりキャラクターの正気度を表す“サニティ/サン値”を表現しているようだった。


 大きな特徴となるのが武器のカスタマイズオプションで,プレイヤーはそれぞれの武器に従来のようなパーツを組み合わせてアップグレードしていくだけでなく,エルドリッチ系の要素を加えることもできるという。それが何かは不明であるものの,ゲーム中に入手できるアイテムやアーティファクトのようなものであるそうだ。
 今回のデモでも,4つの縦列になった短筒のショットガンに不気味な装飾が行われているものがあった。何を組み合わせるのかによって異なる効果が得られるらしく,「どのように組み合わせていくのかはプレイヤーの好みによります」とチェルノッチ氏は話していたので,臨機応変なカスタマイズができると思われる。


 ちなみに,どこか日本の人気漫画「寄生獣」の“ミギー”を連想させるジョンの寄生生物が,具体的に何をするかということについてデモでは紹介されていなかったが,ジョンとは切り離せない関係としてコミュニケーションも取れるというのが気になるところだ。

 そんな「Decadent」について,現時点で日本語化の予定は不明となっているのが残念なところだが,2025年中にも各プラットフォーム向けにリリースされる予定とのこと。Fulqrum Publishingはさまざまな「クトゥルフものゲーム」を生み出しているが,本作もゲームプレイや世界観が高く評価されることになるかもしれない。

“森のクトゥルフ”という余りない角度から攻めるホラーFPS新作「Decadent」のデモを紹介してくれた,Fulqrum Publishingのマーケティングマネージャーであるミハル・チェルノッチ氏




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