gamescom 2024で,ウクライナのDreamateが開発しているアイソメトリック視点型RPG「New Arc Line」(PC / PS5 / Xbox Series X|S)の最新ライブデモを,パブリッシャのFulqrum Publishingブースで見る機会があったので報告しておこう。


 gamescom 2023でアナウンスされた本作は,20世紀初頭のアメリカ東部をオマージュした仮想世界“ニューアーク”を舞台としている。旧来の魔法と未来の科学技術が混在するスチームパンクな世界には,人間のみならず虐げられたエルフやドワーフ,ジャイアントといった他種族も移民してきている。
 だが同時に,人々をミュータント化させる疫病が蔓延しており,移民たちも厳重な監視下に置かれている,という設定だ。

 そんな中,プレイヤーは巨大な鉄骨建造物や空を舞う飛行船など,近代化の波が押し寄せているニューアークの街で,疫病に感染した家族を治癒するために奔走していく。しかし道中では公害,格差,不平等,汚職などの弊害を垣間見ることになるという。
 シリアスなテーマであることは明白だが,究極的には“この新世界の未来を決定する出来事”に巻き込まれていくようだ。


 プレイヤーキャラクターは6クラス(12のサブクラス)から選択でき,上記したヒューマン,エルフ,ドワーフ,ジャイアントの種族・性別・背景を選んでいく。ゼンマイ仕掛けの武器を手にしたり,魔術を極めたり,さらには窃盗や話術に特化したりも自由とのこと。やがては一緒に旅をする3人の仲間を作り,反目や恋愛などを味わっていくという,かなり豊富な体験が盛り込まれたゲームになると思われる。

 スキルは運動能力,知力,洞察力などの「一般スキル」。恫喝,説得,魅惑などの「ソーシャルスキル」がそれぞれ6種類。そして「マジック」と「テクノロジー」というカテゴリーが3種類ずつある。
 キャラクタークラスによって開放されるマジックとテクノロジーが異なり,また装着する衣服や武器,アクセサリーによって,クリティカルヒット率やドッジ(回避)能力が変わっていくらしい。


 今回のデモで紹介されたのは,スラムのような街の一角に住む男性サムスンが絡むイベントだ。彼は,ゲーム中で“Iron Plague”と呼ばれる疫病に冒されており,体が部分的に金属化してしまっている。

 彼はいつしか病に蝕まれてしまう運命にあるが,今は押し寄せてくるギャングから地域を守るために,町の一角でまるで銅像のような姿をさらけ出して見張りをしているという優しい男だ。そんなサムスンから,病院に誘拐されている人たちがいるという情報を聞き出し,その病院で真相を調べるというサブクエストの様子が紹介されていく。

 病院では「疫病の特効薬を発見するために人体実験が必要だ」などと主張する医者がおり,どう判断して対処するのかはプレイヤー次第だった。その選択によってストーリーの成り行きも変化するが,疫病に苦しんでいる家族のことを思って黙認するというような,決して白と黒で分けることのできない絶妙な物語が展開するようである。


 街中のポスター1つ1つが描き込まれているなど,ディテールの細かさには「Baldur’s Gate 3」などの大作RPGに通じる表現力が見られる。デモを紹介してくれたFulqrum Publishingのミハル・チェルノッチ(Michal Černoch)氏いわく,ボリューム的には「それほどでもない」とのことだが,現時点で公開されている画面写真だけでも,グランドキャニオンの渓谷地帯やルイジアナの湿地を連想させるようなロケーションが存在しており,世界の広がりには期待させられる。

 本作は現時点で日本語化のアナウンスはないが,チェルノッチ氏によると「2025年内のリリース」が目標とされているとのことだ。

ライブデモを紹介してくれた,Fulqrum Publishing マーケティングマネージャーのミハル・チェルノッチ氏(右)



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