“レトロゲーム開発者兼ミュージシャン”を自称し,ドイツを拠点に活動するYogi氏(Tronimal)は,任天堂のバーチャルボーイで楽しめる音楽アルバム「Robonaut」のクラウドファンディングを,2024年9月1日から10月1日までKickstarterにて実施している。目標額は8500ユーロ(約137万円)だ。

「Robonaut」のアルバムジャケット。輸入CDで見かける「ペアレンタル・アドバイザリー」をモチーフにしたロゴにも注目


 Yogi氏は,これまでにゲームボーイやマスターシステム,Atari 2600などレトロなハードで作品を発表しているクリエイターだ。作品の中には,ゲームボーイポケットの周辺機器であるポケットカメラを活用したミュージックビデオも存在する。



 今回のクラウドファンディングは,Tronimalの10枚目のアルバム「Robonaut」をCDやバーチャルボーイ実機で動くカートリッジとしてリリースすることが目標となる。支援者には出資額に応じた特典が用意されており,10ユーロ(約1600円)でバーチャルボーイのROMイメージ,20ユーロ(約3200円)で音楽CD,99ユーロ(約1万6000円)でROMカートリッジを受け取れる。なお,ROMカートリッジは限定150個になるとのこと。


 現時点で発表されている「Robonaut」の収録曲は「Hypergolic Blast Off」「Total Lunar Eclipse」「Another Night」の3曲。Tronimalの公式YouTubeチャンネルやBandcampなどで視聴可能だ。このほか,itch.toではプレリリース版も配信されている。



上記の画像は,黒川文雄氏の連載「ビデオゲームの語り部たち 第8部:横井軍平氏の遺志を受け継ぎながら,新しい道を探し続ける株式会社コトの現在」より引用
 バーチャルボーイは1995年に任天堂から発売された家庭用ゲーム機だ。今で言うところのヘッドマウントディスプレイやVRゴーグルを彷彿とさせる筐体で,視差によって立体的な映像を作り出していた。同社はバーチャルボーイのリリース後も立体映像の研究を進めており,それがニンテンドー3DSの裸眼立体視に結実したのは有名な話ではないだろうか。
 また,会社の代表である岩田 聡氏(当時)が,自社のさまざまなプロジェクトについて自らインタビューする「社長が訊く」のニンテンドー3DS特集(関連リンク)では,バーチャルボーイの存在に触れられている。岩田氏に加えて,宮本 茂氏糸井重里氏が開発のきっかけや当時のエピソードを語っているので,興味のある人はこちらもチェックしてみよう。

 今回の音楽作品「Robonaut」は,約30年前に発売されたバーチャルボーイで久しぶりとなる新作ソフトとも言えそうだ。クラウドファンディングの行く末を見守りたい。

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