スイスに本拠を置くパブリッシャ,GIANTS Softwareが「gamescom 2024」の会場に展開しているビジネスブースで,シリーズ最新作「Farming Simulator 25」(PC / Mac / PS5 / Xbox Series X|S)のライブデモをチェックしてきた。パブリッシャにゲームの詳細を聞く機会も得たので,ここで紹介したい。


 日本とアジア地域におけるコンシューマ機版のパブリッシングをセガが担当し,ワールドワイドで2024年11月12日にリリースされることがアナウンスされた(関連記事)「Farming Simulator 25」は,大規模農場を経営するというシミュレーションゲームだ。ニッチなジャンルながら,2008年のシリーズ第1弾以来,毎年のように新作をリリースして評判を高め,前作「Farming Simulator 23」は700万本,シリーズの累計では3000万本ものセールスを記録する人気シリーズに成長した。
 麦わら束の輸送を競うeスポーツ大会が頻繁に開催されるなど,大きなプレイヤーコミュニティも誇っており,子供から大人まで楽しめる本格農業シムとして,gamescomのパブリックエリアでは常に人だかりができるほど注目を集める作品だ。


 「Farming Simulator 25」では,新たな収穫物として「米」が追加されたことがすでに発表されており,アメリカのMacDonといった新しいメーカーを含めて,Case,IH,CLAAS,Fendt,John Deer,KRONE,New Holland,Valtra,さらにクボタやイセキなどの日本企業を含めた約150社400台以上の大型農業機械やアタッチメントが登場するという。
 独自開発したゲームエンジンもアップグレードされ,ダイナミックシャドウやフォグ,ペイントシェ―ダー,水面シミュレーション,地表のレンダリングシステムの一新など,技術面での大きな更新も行われているという。


 そんな「Farming Simulator 25」だが,GIANTS SoftwareのPR&マーケティングマネージャーを務めるウォルフガング・エーベルト(Wolfgang Ebert)氏に話を聞くことができたので,新情報を以下にまとめておこう。

■新しい収穫物の「米」は,水田でも乾田でも耕作できる。米のほか「ほうれん草」も収穫が可能になり,既存の大豆,とうもろこし,小麦などを含めて収穫物は25種類におよぶ。米の収穫に関しては現在,刈り取った稲穂の藁を抽出することはできないが,今後の農機のライセンスによって対応する可能性がある。


温室での栽培が可能に。トマトなどのほか,稲の苗作りもできる。

■北アメリカの「Riverbend Springs」および,詳細未定ながらヨーロッパと東アジアの3つのマップが用意される。


■新たな農業機械としては,アジア地域で広く活躍しているイセキのコンバイン「Iseki Japan 6130」や,稲の苗を運ぶのに適したFendtのトラクター「512 VARIO」,ほうれん草の刈り取りを行えるOxboのハーベスター「MKB-4TR」,穀物専用の播種機となるAgro Maszの「AQUILA DRIVE 400」,ドリルを使って植え付けを行うNovagの「T ForcePlus 950」,そしてNew Hollandの前輪駆動コンバイン「T7.230」などをフィーチャー。


■新たに「GPSガイダンスシステム」を導入し,カーブした土地でも綺麗に耕作や刈り取りが行える。

■新しい家畜は水牛ヤギ


■家畜は,幼年期から成熟期まで3段階に成長する。子ウシが走り回る姿は可愛い。

■新たなグラフィックス機能として,「地形変化」を実装。重い農機で農地や未舗装道路を走ると轍ができる。うねった土地を整地することも可能で,雨が降るとタイヤや車体に泥が付く。

■新しい天候グラフィックスとして,農地につきものの「朝靄」を表現する。天候がダイナミックに変化するわけではないが,水辺では霧が発生しやすかったり,雨が降りやすい状況になったりするという。


■新しい天候効果として,「竜巻」「雹」が発生し,収穫物にランダムにダメージを与える。竜巻は樹木にも被害を与えるが,家屋や車両,温室などを破壊することはなく,人や家畜を巻き込むこともない。竜巻や雹の発生は任意でオン/オフにでき,インタフェース右上の天候の隣にアイコンが用意される。


 上記のように,「Farming Simulator 25」のリリースは11月12日が予定されており,オープンしたSteamのストアページでは,インタフェースとテキストが日本語に対応することが記載されている。あくまで大型農機を駆使した大規模農業に特化したシミュレータなので,「日本の小さな田んぼ」が舞台になることはなさそうだが,東アジア地域で稲作ができるのは大きな魅力だ。シリーズの新たな可能性と広がりが感じられた。

デモを紹介してくれたGIANTS Softwareのウォルフガング・エーベルト氏(右)と,デモの操作を担当をしたベンジャミン・ガラ(Benjamin Galla)氏(左)

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