韓国で開催されたインディーゲームイベント「Busan Indie Connect Festival 2024」では日本人の開発者の姿も見られた。日本発のタイトルの多くはBitSummitの提携エリアにまとまっていたが,それらとは別に一般エリアでブース出展している日本人がいたので,出展タイトルや出展の経緯について話を聞いてきた。


世界滅亡共有幻想マミヤ


 けんこうランドのココロ・テン氏は,シナリオ,絵,プログラミングを1人で担当し,8年かけて「世界滅亡共有幻想マミヤ」を完成させたと話す。本作は,「『MAMIYA』という非実在の幻想にまつわるダークなアドベンチャーゲーム」であり,「多様な人物の繊細な心理描写,アッと驚く謎・トリックが魅力」だという。

 
 ブースでは,約5分で作品を紹介する特別仕様の体験版と,2023年11月にSteamで完結編をリリースするまでの軌跡を振り返る漫画「8年ゲーム制作にかかった人のあとがき本」(外部リンク)を展示していた。こうしたイベントで長編のアドベンチャーゲームをプレイするのは時間的に難しいので,短時間でゲームの魅力を知れるような工夫はありがたい。

 なお,同氏は海外のゲームイベントに出展するのは初めてで,韓国に来るのも初めてとのこと。今回は「Slay the Alice」を開発するすずみ氏「ライムの森で待つ」(関連記事)を開発するうにか氏,「Slay the Alice」と「ライムの森で待つ」のプロデューサー/パブリッシャ的な立ち位置であるカツサダ氏と一緒に来ていて,カツサダ氏が「行こう!」と言い出したことが出展のきっかけだったそうだ。「1人で行くのは不安だったが,仲間がいることで前向きになれた」とココロ・テン氏は語った。

けんこうランドのココロ・テン氏




Slay the Alice


 すずみ氏とはら氏による2人組のドットゲームサークル「すずみはら」は,2024年10月23日にSteamでリリース予定のPCゲーム「Slay the Alice」を出展していた。今回は,すずみ氏のみが渡航したという。


 本作は,植物の国に迷い込んだアリスとなって,危険な世界を冒険するビジュアルノベルで,ドットアニメーションを魅せることが重視されている。カツサダ氏が主催するゲームジャムに提出した作品なので,短期間でゲームを開発するために,「Slay the Spire」のカードゲーム以外の部分(マップやUIなど)を参考にしたとのこと。

 「トイボックスの夢の中で」(外部リンク)など,これまではフリーのホラーゲームを作っていたと語るすずみ氏。言われてみるとその作風からはRPGツクール製のホラーゲームの文脈を感じ取れる。しかし,Slay the AliceはSlay the Spireを模倣しているので,見慣れたホラーゲームではなく,斬新なSlay the Spire風タイトルとしてプレイヤーの目に映っていたのではないか。

 余談だが,「アーキタイプ・ブルー」を開発するシン・ウォンチョル氏も,Slay the Spire風のシステムを使っているが,自身が本当に影響を受けたのは別のゲームだとインタビュー(関連記事)で話していた。個人的には今回のBIC取材で,カードゲーマーではない開発者によるSlay the Spire風タイトルのポテンシャルを感じた。

 また,すずみ氏にも出展の経緯を聞いたところ,海外のゲームイベントに出展するのは初めてで,カツサダ氏のおかげで来られたという。

すずみ氏は,韓国語がわからないのでQ&Aを想定して,韓国語と日本語で資料を作ってきたそうだ。そして,テンプレートをココロ・テン氏にも共有したとのこと

 最後に,どうやらリーダー的な存在らしいカツサダ氏に会いに行ったものの,「カツサダはミステリアスな感じで」という本人希望のため,ここで筆を置くことにする。怖い人ではないので,興味のある人はインディーゲームのイベントで探してみよう。


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