ゾンビゲームの名作として名高い「デッドライジング」をリマスターした「デッドライジング デラックスリマスター」(PC / PS5 / Xbox Series X|S)が2024年9月19日に発売される。今回は本作の序盤を先行プレイできたのでインプレッションをお届けしていく。グラフィックスが強化されただけでなく,さまざまな変更でプレイアビリティも向上しており,令和に生まれ変わった「デッドライジング」を思う存分堪能できた。




ゾンビゲームの名作がリマスターして復活!


 「デッドライジング」は2006年に発売された「ゾンビパラダイスアクション」を謳うゲームだ。主人公であるジャーナリストのフランク・ウエストは,突如封鎖されたウィラメッテの街へ調査に赴く。退屈な田舎町であるはずのウィラメッテだが,そこはゾンビが徘徊する地獄と化していた。

 フランクは生き残りが籠城するショッピングモールで取材を試みるが,ひょんなことから入り口の封鎖が破れてしまい,ゾンビがなだれ込んできてしまった。無数のゾンビ,その中で孤立する生存者,狂気に陥ったサイコパスが入り乱れるなか,フランクは真相を追うためにショッピングモールを奔走することになる……。

主人公のフランク・ウエスト。特ダネを狙うジャーナリストではあるが,ショッピングモールでは生存者たちを助けて回る義侠心も持つ

田舎町・ウィラメッテのショッピングモール。集まってくる人影の正体は……?

 日本で本作が発売されたのは当時の最新ゲーム機であるXbox 360が発売された9か月後のこと。大量のゾンビが入り乱れるゲームプレイには,大きなインパクトがあったことを今でも覚えている。

 ゲームの進行は比較的自由だが,事件の真相を追うには,刻々と時間が流れるなか,ショッピングモールのあちこちで起こるイベントをこなしていかなければならない。多くの生存者を助ける「セイント」や,14時間以上続けてのプレイが求められる「7デイ・サバイバー」といった実績は,オリジナル版発売当時,大きな話題を呼んだ。

 なお,今回は「デッドライジング デラックスリマスター」の2日目の午前10時59分までがプレイ範囲となっている。

モールに逃げ込んだ人々はバリケードを築いて身を守っていたが,老婆の軽挙妄動で防備が破れ,ゾンビがなだれ込んでくる

 本作の面白さは,ショッピングモールでやりたい放題に暴れ回れることにある。現金は役に立たず,レジスターはただの四角くて大きなゾンビを殴る鈍器として活躍するし,スポーツ用品店からゴルフクラブを持ち出しゾンビに向けてナイスショットしたり,中庭にある芝刈り機でゾンビを刈り込んだりもできる。

 羨望の的であった高価な宝石も,ゾンビにぶつけてひるませるための弾に過ぎない。オシャレなカフェに置かれたパイやフードコートのワインを金も払わず飲み食いしてもなんの問題もないし,紳士服から婦人服まで,店頭に並んだ服に片っ端から着替えていくのもいい。ルールなんてものはなく,なにをしてもOKな自由さが楽しい。

ベンチをつかみ,並みいるゾンビをブン殴る

高価な宝石も,今やゾンビにぶつけるための弾丸に過ぎない

 誰もがゾンビ・アポカリプスが起こったら……と妄想するようなことを実際にやれるのが「デッドライジング」の世界ということだ。もちろん,現実であれば道徳心や理性というものが邪魔をすると思うが,「デッドライジング」はゲームの世界なので,自分の本能の赴くままに好き放題やってしまえばいい。ゾンビものあるあるな体験を実際にできるのが,本作最大の魅力なのだ。

店先から高級そうなゴルフクラブを持ち出し,ゾンビにボールをショット

 筆者はオリジナル版も過去にプレイしたが,今回の先行プレイでその当時のワクワクが蘇ってきた。あんなこともできる,こんなこともできる,これでゾンビを殴ったら面白いんじゃないだろうか,そこの服もいただいてしまえ,あそこに置かれた食べ物も食べてしまおう……とあちこちに目移りしながらショッピングモールを歩き回る感覚は,懐かしさを感じつつも,今でも楽しいものであった。


 “オモチャ”が一杯のテーマパークに放り込まれて悪い気分になる人はいない。「ゾンビパラダイスアクション」というジャンルは,これ以上なく的確な呼称だ。また,本作はゾンビの数がかなり多く,状況や武器もかなりブッ飛んでいるため,陰惨なゴアというよりはブラックジョーク的な雰囲気が漂っている。あくまでも筆者の感想だが,ホラーが苦手という人でも遊びやすくはなっているように思える。


 そして本作では,リマスターするにあたりさまざまな変更が施され,プレイアビリティが向上している。大きな変更点の1つが,ショッピングモールから手に入れる武器や乗り物に「耐久度」のパラメータが表示されるようになった点だ。例えば「スケートボード」は効率のいい移動に欠かせないアイテムでありつつも,気がついたら壊れているというケースが多かった。

 これまではぶつからないテクニックを磨きつつ,交換タイミングを勘で判断することも多かったが,本作では「そろそろ壊れそうだから,予備を用意しておこう」といったように,次の展開を見据えた準備がやりやすくなっている。

右上に表示されているのが,スケートボードの耐久度。どういったプレイで耐久度がどれくらい減るのかが常に表示されている

 衣料品店で好き勝手に着替えられるのも「デッドライジング」の面白さだが,本作では一度手に入れた服なら守衛室のクローゼットで自由に着替えられるようになった。「バイオハザード」のリッカーや「ヴァンパイア」のオルバス,「ロックマンエグゼ」のロックマンなど特典系コスチュームもここで着替えることができ,ファッション派のプレイヤーにとってはうれしい変更点だ。

一度手に入れた服は,守衛室で自由に着替えられる

着替えたコスチュームはカットシーンにも反映される。謎のお爺さんを撮影しようとしたら,咎められてタジタジ……というシーンだが,リッカーコスチュームだとコミカルさが増す

「ロックマンエグゼ」のロックマン

ショッピングモールのマスコットをかたどった着ぐるみ。質感もリアルだ

「ヴァンパイア」のオルバス

 ショッピングモールのあちこちには生存者たちが孤立していて,フランクの助けを待っている。彼らと合流して,安全な拠点である守衛室へ護送していくのも大切な任務だ。オリジナル版の生存者はフランクと少し離れただけで付いてこなくなることが多かったが,今回は挙動が改善されているようで,ある程度スムーズに護送できる。銃を構えた状態で移動できるようになったのも大きく,ボス戦から生存者の護送まで快適度が増している。

 プレイ中はオートセーブも行われるようになり,もしフランクがやられたとしてもある程度巻き戻るだけでリトライできるようになった。生存者を必死で護送したものの,手動セーブを忘れたうえに守衛室の直前でやられてしまった……なんてミスもリカバリーしやすくなったというわけだ。

 写真撮影機能ももちろん健在だ。バイオレントだったり,ドラマチックだったりといった基準を満たすとPP(経験値のようなもの)を獲得できる。ただしリマスター版では「EROTICA(お色気写真)」の評価基準がなくなっている。また,ゴア表現として頭部を除いた分離欠損描写が解禁されている。

生存者の挙動も改良されており,ある程度遠くても問題なく付いてくるようになった

本作では銃を構えたまま移動できる。とっさの襲撃にも対応しやすくなった

再会を喜ぶ2人を撮影すると「DRAMA」評価に

 今回は序盤部分のみのプレイとなったが,かなり細かな点まで変更が加えられている模様で,9月19日の発売が楽しみになってきた。ホラーゲームの世界で語り継がれる名作である「デッドライジング」,これを機会にシリーズの新作を望みたいところだ。


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