2024年8月1日,北米最大のアナログゲームイベント「Gen Con 2024」が開幕を迎えた。アメリカ・インディアナポリスの市街地に位置する「インディアナポリス・コンベンションセンター」で,8月4日までの4日間にわたって開催された。
 Gen Conの規模や歴史,また開催を前日を控えた盛り上がりなどは,先に掲載した記事で紹介したので,本稿ではいよいよ本番を迎えた現地の模様を,写真を交えながらお伝えしていく。

関連記事

北米最大のアナログゲームイベント「Gen Con 2024」が開催中。お祭りの予感に満ちていたゼロ日目,現地インディアナポリスの様子をレポート

 現地時間2024年8月1日から4日までの4日間,米インディアナ州インディアナポリスのインディアナ・コンベンションセンターにて,アナログゲームイベント「Gen Con 2024」が開催中だ。本稿ではその開催前夜,お祭りの予感あふれる“イベント本番ゼロ日目”の様子をお届けしてみたい。

[2024/08/03 17:26]
  • キーワード:
  • ANALOG:真・女神転生 THE BOARD GAME(仮)
  • イクリエ
  • ANALOG:ダンジョンズ&ドラゴンズ 第5版
  • ANALOG:マジック:ザ・ギャザリング
  • ANALOG
  • イベント
  • ライター:Im Karton/ginrei
  • Gen Con 2024


幅広いジャンルのゲームや関連グッズが大集合


 さまざまな企画展示やゲーム大会,トークイベントなどが催されるGen Conだが,多くの参加者がまず期待するのは,やはり新作が集まる展示即売ブースだ。世界中のアナログゲーム企業が軒を連ねるエキシビットホールには,10:00の会場オープンから多くの人が詰めかけ,買い物に勤しんでいた。

 取り扱われている製品のジャンルも多種多様だ。ボードゲームにカードゲーム,TCG,ミニチュアゲーム,テーブルトークRPGといったゲームはもちろんのこと,イラストレーターの原画を展示・販売するコーナーや,ダイスやトレイなどのサプライ製品,コスプレ用の革鎧や刀剣類を扱うお店などなど,幅広いニーズに応えるようにブースが立ち並ぶ。

 そうした新製品の中でも今回の目玉と言えるのは,かねてより登場が予告されていた「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(以下,D&D)の最新ルールブック「2024 Player's Handbook」だろう。一般販売に先駆けての先行販売,かつ3000部限定ということで,多くの参加者から注目を集めていた。また併設されたプレイ会場では,早くも新ルールを使った試遊イベントも開催されていた。

D&Dの最新改訂版「2024 Player's Handbook」の販売の様子。オンラインでの事前予約制で,デジタルチケットがなければ購入できない仕組み

会場内で多く見られたテーブルトークRPG向けダイス販売ブース。色とりどりのダイスに目移りしてしまう 今年発表された新作ミニチュアゲーム「WARCROW」。ミニチュアゲームとして有名な作品以外でも,コンポーネントをミニチュア化したボードゲーム作品が少なくなかった

AEGの新作,キノコを育てるボードゲーム「Under Grove」。拡張セット含めて250万部という驚異的な売り上げをたたき出した「ウイングスパン」作者の新作だ ラベンスバーガーの「LORCANA」の新拡張が早くも発表に。昨年のGen Conで長い購入待機列を作ったいわく付きの作品

先日発表されたドイツゲーム賞受賞作の発表ブースがGen Conに出張。授賞式は10月にドイツで開催される「Spiel Essen」で行われる


日本企業の出展は6社。日本発コンテンツを題材にしたゲームも多数


 世界中から集まった出展企業のうち,日本からは6つのブースが出展を果たしている。
 ボードゲームではオインクゲームズホビージャパン,そして5社による共同出展となるJapan Pavilionのブースがそれだ。
 Japan Pavilionは今回が初出展とのことで,話題作「真・女神転生 THE BOARD GAME(仮)」のイクリエほか,Asobision,グループSNE,FrogGames,妄想ゲームズ☆がそれぞれの作品を展示/販売していた。

 TCG関連ではバンダイ,ブシロード,ポケモンが2023年に続きブースを構えていた。新作では鳥山 明氏の漫画「SAND LAND」のカードゲーム「SAND LAND TACTICAL CARD BATTLE」がバンダイブースで先行販売。そのほかの各社も,それぞれ大規模なプレイブースを構えて,大会を開いていた。

オインクゲームズは最新作「ゆくカバくるカバ」を販売。作者のクリス・プリスコット氏によるイベントも開催された

こちらはJapan Pavilionブース。なお「真・女神転生 THE BOARD GAME(仮)」については,追って詳報をお届けする予定だ

日本未発売の「エスペライゼーション」を販売していたホビージャパンブース。また,11月発売予定の「FINAL FANTASY XIV TTRPG スタンダードルールブック」も展示されていた

なおR. Talsorian Gamesブースでは,ホビージャパンから日本語版が発売されている「サイバーパンクRED」の新拡張「Cyberpunk: Edgerunners Mission Kit」が登場。こちらの日本語版にも期待したいところだ

「SAND LAND TACTICAL CARD BATTLE」を販売するバンダイブース。午後になるころには在庫がなくなっていた

ブシロードブースとポケモンブースは,とくに新製品はなかったものの,大会などを運営し,来場者を楽しませていた

日本企業のブース以外にも,日本のコンテンツや文化をモチーフにしたタイトルは,そこかしこで見受けられた。インディアナポリスでも根強い人気があるようだ


D&D50周年を振り返る記念展示「D&Dミュージアム」


 Gen Conと共に歩んできたといって過言ではないD&Dが今年で50周年を迎えるということで,会場では新製品の発売のみならず,さまざまな記念展示やトークイベントが開催されていた。そのうちD&Dミュージアムは,同作の50年間を出版物で振り返るという展示で,貴重な資料が数多く展示され,来場者を楽しませていた。

 D&Dの原型となったウォーゲーム「Chainmail」や,オリジナルD&Dの初版ボックス,初期のGen Conで配布された小冊子の現物を確認できたほか,当時のプレイ風景を再現した展示も。もちろん現行の第5版に至るまでの歴代の書籍も網羅されていて,その歴史の長さに自然と思いを馳せてしまう。同時に,これらが現在まで続くGen Conの礎になったと思うと,アナログゲームファンとして感動もひとしおである。



未体験ジャンルへの扉を開く,多様な参加型イベント


 最後にGen Conというイベントの独自性について掘り下げてみたい。北米最大・最古のアナログゲームイベントというだけでも大きな存在感があるGen Conだが,その最大の特徴は,アメリカのコンベンション文化に根ざした「楽しみ方の幅広さ」にこそあると筆者には感じられた。

 有名な大規模アナログゲームイベントには,Gen Conのほかにもドイツの「Spiel Essen」やフランスの「Festival International des Jeux」,日本の「ゲームマーケット」などがあるが,いずれもその主旨はゲームの展示,販売,試遊がほとんどだ。しかしGen Conの楽しみ方はこれに止まらない。
 Gen Con公式サイトに,「参加者の中には参加型イベントに出席したり,一日中ゲームをしたりするばかりで,エキシビットホールに現れない人もいます」という一文があるように,とにかく参加の幅が“豊か”なのだ。

イベント参加チケットの予約画面。人気のイベントはすぐに申し込まないとチケットが売り切れてしまう

 会期中に開催される参加型イベントは1万5000にものぼり,そのコンセプトもバラエティに富んでいる。例えばミニチュアゲームのペイント教室があり,人気ゲームの大会があり,あるいはテーブルトークRPGの遊び方指南があり。それら一つ一つは珍しいものではないかもしれないが,これだけ一堂に会すれば壮観ですらある。それが新たなジャンルとの出会いにもつながり,作り手と受け手の距離の近さにも通じる,実にアメリカらしいイベントと言えるのではないだろうか。

塗料メーカーが開催するミニチュアゲームのペイント教室。塗装初体験でもこうした場で手ほどきが受けられるなら安心だ

定番戦略ゲーム「ディプロマシー」の大会会場。巨大なゲームマットで競われる決勝戦で,最も強いプレイヤーが決まる

そのほかピンボールが遊べるスペースなど,ゲーマーが楽しめるものなら何でも集まっている

3日目の土曜日になると増えてくるコスプレイヤー。午後には行列になって会場を歩くパレードも行われていた


著者紹介:Im Karton
海外アナログゲームイベントを訪ねて旅する3人組。読み方は「イム・カートン」。これまでに世界最大のアナログゲームイベントであるドイツ「SPIEL Essen」をはじめ,アメリカ「Gen Con」,フランス「Festival International des Juex」などを訪問。昨年はSPIEL Essenに行きたい旅行者向けのガイド「Essen Spiel Guidebook 2023」を同人誌として刊行。

Omochicard
Im Kartonメンバー。訪問時は旅行の計画や日本へボードゲームを送る宅配便の発送などを担当。海外ボードゲームが大好き。好きなボードゲームは「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」や「Kemet: Blood And Sand」。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。