ネクソンが2024年4月17日(水)にサービスイン予定のスマートフォン/PC向け新作MMORPG『HIT : The World』。

 4月6日(土)、リリース前に公募したストリーマーやコミュニティー管理人といった“公式クリエイター”の皆さんを招き、先行体験会が開催された。内容は、参加者が5つのギルドに分かれ、GvGコンテンツ“攻城戦”をリリース前にプレイするというもの。

リリース前から本作の目玉のひとつを体験。

 GvGは当然ながら全員が初体験。にも関わらず、システムのわかりやすさからか、あっという間に慣れていく参加者たちにより大いに盛り上がった。

 ちなみに、ファミ通.comではMMORPG好きミュージシャン・椎名慶治さん(SURFACE)やMMORPG勢と語り合う記事を掲載中。こちらもあわせてどうぞ。

会場はASH WINDER Esports ARENA高田馬場店。参加者全員にPC版の『HIT : The World』と、ギルドごとのDiscord通話環境が用意された。

 さらにイベント内では、リリース日から5月にかけてのマイルストーンに加え、日本のユーザーの意見を取り入れて開発中の新要素についても情報が公開された。新クラス“鎌”と1ギルド対1ギルドの対戦コンテンツだ。

 今回はGvG体験会にメディアチームとして参加した視点からリポートしつつ、新情報についてもお届けしていく。

早くも5月に新クラスが登場することが判明。
PvPやGvGでユーザー間でも自主的に盛り上がれる大会イベント向けのコンテンツが開発中とのこと。ストリーマーにも嬉しい要素だ。
我らメディアチームも何としても爪痕を残すべく奮闘しました。

まずは最新情報から。日本ユーザーに向き合う姿勢

 イベントの最初には、そもそも『HIT : The World』がどういったタイトルなのか改めて説明された。本作の運営方針は、日本のユーザーに向き合うことを重視。日本でのリリース前の展開でもすでに、日本のユーザーの意見を受け止め、真摯に対応している部分が見受けられている。

 体験会では『HIT : The World』日本運営ディレクターのはくしん氏に加え、韓国から開発統括を務めるパク・ヨンシク氏が、日本サービス担当ディレクターのキム氏も伴って来日。ステージで日本のユーザーに向けて、メッセージとともに最新情報を公開した。

最新情報とともに来日したパク・ヨンシク氏。
はくしん氏はリリース後の展開を発表。

 パク氏からはひとつめの情報として、攻城戦や乱闘場などの対人戦コンテンツを用いたオフラインの大会イベントを準備している旨を発表。現在は具体的な議論に入っている段階とのことだ。

 ふたつめの情報は、こうした大会を見据えたものとして、日本向けに1ギルド対1ギルドの対人戦コンテンツを用意しているというもの。いずれのコンテンツも実装時期はまだ未定で、今後も日本のユーザーに喜んでもらえるコンテンツを用意していきたいと考えている、と氏は締めくくった。

1対1のギルド戦の実装。以前に日本のユーザーから出た意見が早くも取り入れられた。

 続いてはくしん氏が今後のマイルストーンを発表。3対3で対人戦を行なう“乱闘場”や、ギルドの仲間と課題に挑んでポイントを稼ぎ、ギルド同士でランキングを競い合う“結束の証明”などが実装されていく。

 さらには2024年5月29日(水)に、新クラス“鎌”が実装されるとの発表もあった。この新クラスのなかには、前作『HIT』でファンが多かった鎌使い“アニカ”の姿のキャラクターもいるとのこと。

全サーバーのユーザーが入場できる“インターサーバー”の狩り場も実装予定。

 なお、攻城戦はサーバーごとの全体解放イベントが終わりしだいプレイできるようになるとのことで、サーバーごとにタイミングが変わる。どのサーバーが最初に解放できるか、その競争もいちコンテンツとして楽しめそうだ。

 ほかのマイルストーンとしては、生放送のスケジュールと正確なリリース日時も改めて公開。本作のサービス開始は2024年4月16日(火)の第2回公式生放送の後、2024年4月17日(水)0時(16日24時)からスタートする。

 リリース日には開発スタッフが社屋近くに宿泊し、有事の場合に即対応できるように備えるとのこと。本イベントの最後にははくしん氏、ならびにパク氏の両方から、日本の熱いユーザーの想いに応えられるように努めること、併せて今後も力添えをしてほしいとの願いが伝えられた。

パク氏いわく「今後韓国のゲームを日本でリリースするうえでの見本になれれば」とのこと。リリース前から開発・運営陣の強い意気込みが感じられた。

攻城戦開始。第1回戦は探り探りの大乱戦

 続いて、今回のイベントのメインコンテンツだった“攻城戦”体験会の模様をお伝えしていこう。『HIT : The World』本来の攻城戦は10ギルド、各ギルドから10名ずつが同時に参加する大規模GvGだ。

本来よりは小規模とはいえこの大乱戦。見た目では何をしているのか把握しにくいかもしれないが、ルール自体はかなりわかりやすい。

 本作の攻城戦は、防衛側が1ギルド、ほかのギルドがすべて攻撃側となる。体験会における勝利条件は下記の通り。

  • 防衛ギルドが18分間城を守り切れば即勝利
  • 攻城戦全体の制限時間(35分)終了時に、防衛ギルドになっていたギルドが勝利

 戦場となる“インテラ城”は、大きく分けて3つのエリアで構成されていた。

城門

 城への唯一の入り口。各参加者ごとに選べるスタート地点は“中央攻撃路”、“左側攻撃路”、“右側攻撃路”の3つがあり、一度倒されても街からファストトラベルで各スタート地点に戻ることができる。

3つのスタート地点と城門前、いずれでも待ち伏せ可能。

守護石エリア

 城門を抜けると、向かって左右の奥に閉ざされたワープゲートがあるほか、中央に3方向の進入路と、その中心に“守護石”が設置されている広いエリアに出る。この守護石を攻撃して破壊すると、2つのワープゲートが開いてつぎのエリアに向かえる。

攻撃側にとっては、守護石を早く壊すことだけでなく、ゲートが開いたらいかに素早くつぎのエリアに進撃するかも重要。

刻印石エリア

 ふたつのゲートそれぞれからの進入路が合流する地点に最後の部屋があり、そこに“刻印石”が設置されているエリア。この刻印石に、攻撃側のギルドマスターが一定時間触ることができれば、そのギルドが城の主としてつぎの防衛ギルドとなる。

 防衛ギルドが決まると城内にいる参加者は全員城外にテレポートさせられ、仕切り直しとなる。

防衛ギルドにとってはここが最終防衛ライン。激しい戦闘がくり広げられる。

 ルールのなかでも“ギルドマスターが一定時間触る”という条件が、とくに重要だ。ほかのメンバーが強くて刻印石エリアを突破できたとしても、そこにギルドマスターがいないとなんの意味もない。メンバーが一丸となって、マスターを守りつつ突入しなくてはならないわけだ。

 こうなると、各通路での人数比などが非常に重要になる。人が多ければ当然強い。そんな状況で、今回の体験会でのチーム分けはこのようになっていた。

2回戦はメディアチームがすごく不利に。

 1回戦時点では防衛ギルドが存在せず、NPCが城を守っているところに、5ギルドがそれぞれ独立勢力として突っ込む。

 2回戦は1回戦の勝者となったギルドが防衛ギルドの状態でスタート。本作のギルドには同盟機能があり、それを使って2ギルドがひとつのチームとなる。つまり、ひとつだけ残ったメディアチームはどうあがいても勝てなくないのである。

 なお、2回戦で勝利した連合ギルドのメンバー全員には賞品としてAmazonギフト券5000円分が贈られる。運営が絶対にメディアチームを勝たせたくないと考えるのも当然か。

悔しいので全力でキャラクター強化して臨んでやろう。

 キャラクターの能力値を攻撃面、防御面、HPなどの耐久面の3つを選んで強化できる“ルーン刻印”をはじめ、我々メディアチームは通話でキャラ強化の方法を見つけしだい共有していった。できれば勝ちたいので。

 攻城戦の開始前には、3対3の対人戦が体験できる“乱闘場”も解放されたが、キャラクターの強化で忙しくて見に行く時間もない。よもや卑怯とは言うまいな。

「ペットにも対人向けのがいました!」と情報が回ってくるや否や、全員がそのペットを選ぶ。大人げない。

 また、『HIT : The World』では3つのキャラクタープリセットを用意でき、戦闘中でも切り替え可能。キャラクターの装備や強化状態も、プリセットごとに違ったものを登録。細かく設定できるため、急ぎに急いでも筆者が3つのプリセットを登録し終えたのは、攻城戦が開始されるギリギリ前だった。

 筆者が選んだクラスは、中距離では剣気を飛ばして1対1でのダメージ量と回避力に優れた“双剣”と、遠距離範囲攻撃を得意とする“杖”、そして回復役の“宝珠”の3つ。とくに双剣は火力が高く、活躍してくれた。

3つのプリセットにどのクラスを採用するかも大事。ギルドマスターには10秒間無敵になるとんでもないスキルがある“鈍器”クラスを確定で持たせた。
担当編集のミス・ユースケは見た目で3クラスを選択。MMORPGではそういうのもアリ。
筆者が火力面を一点突破で伸ばした影響もあるだろうが、双剣は1対1では負けることがなく、ド派手な範囲攻撃も優秀。ただし相手を足止めする手段が少なく、逃げられることも多かった。
見た目がかわいいから選んだわけではない。断じて。

 こうして準備を整えて臨んだ1回戦。まだ勝手がわからない全参加者が、とりあえず城門に殺到していく。最初のNPCとの戦いでは問題なかったのだが、他ギルドが城主になってからここで大きな障害となったのが、防衛ギルドが展開できる“魔法障壁”だ。

とりあえず城門に突っ込んで壊しても、通路を通り抜けられない。

 魔法障壁は要所となる通路の各マスに備えられている装置。防衛ギルドのメンバーが立って装置を起動させると、そのマスは侵入/通り抜け不可になる。非常に堅牢な防衛手段なのだが、攻撃ギルド側がこの障壁を攻撃して破壊すると、その障壁を張っていたメンバーは障壁もろとも戦闘不能になってしまう。

 連なるように障壁を展開すれば障壁の強度がアップ。通路を塞ぐように横に連ねて展開するだけで、攻撃側をその場で長時間足止めできる。

障壁を起動しているプレイヤーはそのマスから動けなくなるが攻撃は可能。守りを固めつつ固定砲台になるわけだ。

 この魔法障壁が、攻撃側としてはじつに厄介。防衛ギルド側はこの障壁を任意のタイミングで展開できる。状況を見てこの通路を塞ごう、そろそろ破られそうだから追加の障壁を張ろうと、後出しで対応できるのだ。

 とはいえ、魔法障壁も攻撃側からすれば殴って破壊する以外に突破手段がないものなので、考えることはそんなに増えない。そもそも魔法障壁だろうがほかの攻撃側ギルドのメンバーだろうが、サーチに引っかかったら殴る。それくらいの認識でも問題なかった。

1回戦では筆者は障壁にやっきになりすぎ、その間にほかの通路から別のギルドが目的地に到達していた。無念。
サーチボタンを押すと、周辺プレイヤーの名前が右上に一覧で表示される。この名前をクリックするだけでターゲットできるので、エフェクトで相手が見えなくても問題ない。

 城門と異なり、2番目の守護石エリアは3方向を守るのが難しいようで、あっという間に突破されていく。2つのワープゲートが開き、いよいよ最後のエリアへの道が開く。

守護石エリアは広いこともあって、守りの手が届ききっていない印象だった。

 我々メディアチームはほかのギルドの動向を見てから、人が少ないほうのワープゲートに突撃。防衛ギルドはまずは大人数で攻められたほうに守りを集中するだろうから、もう片方は手薄になるだろうと考えたわけだ。

 そんな後手に回る戦法を多く取っていたこともあって、果敢に攻めたほかのギルドが城主になるのを刻印石エリアで「え、早くない?」と指をくわえて見る展開が続いた。

 1回戦ではこうして探り探りでやっているうちに、時間切れ時に防衛ギルドだったチームCギルドが勝利。ゲーム内の街にはチームCのギルドマスターを象った、巨大な像が出現した。

いろいろ企むので初動が遅いメディアチーム。1回戦では一度も城主にはなれなかった。
ムービー付きで、ギルドマスターの像が立つ。うらやましい。この像に話しかけるとバフ(強化)効果がもらえるが、自動で褒めたたえるセリフを言わされる。なんたる屈辱。

2回戦、ギルマスの大事さと戦略の幅広さが判明

 続く2回戦はチームCとDのギルド連合が最初の防衛ギルドとなり、そこにチームAとBのギルド連合とメディアチームが攻撃側として攻め込む形となった。

チームDの一員だった公式エバンジェリスト、反王ケンラウヘル氏が2回戦を前に作戦を立てつつ連合を鼓舞。

 こうして始まった2回戦は、開幕からして何かが違った。さあ城門へ突っ込もうと思ったら、開幕早々にDiscordの通話にこんな報告が。

「すみません、ギルマスやられました!」

 ギルドマスターがピンポイントで狙われ始めた。この攻城戦のルールだと、ギルドマスターを最後の部屋にさえ通さなければいい。防衛側はもちろん、城を渡したくないほかの攻撃側ギルドもやらせまいぞと敵ギルドのマスターに集中攻撃を始めたのだ。

名前変更アイテムを使って偽装したりもしたが、ギルドマスターの頭上には大きな王冠のアイコンが出てしまうので意味がない。

 無論、我々も黙ってやられてばかりではいない。城門前に全員で待ち構え、王冠のマークが見えたらその人のキャラ名を大声で叫びつつ、容赦ない全軍突撃をぶつけていく。

 とくにチームDのギルドマスターには、加担した筆者も引くくらいのサーチ&デストロイが行なわれた。あとでちゃんと名刺交換しつつ謝罪したので、弊誌だけは許してもらえたはず。

ほぼチーム全員で待ち構えながらの粘着。やられたのが筆者だったらギリギリ泣いてる。

 防衛側が破られ、新たなギルドが城の所有者になるまでのスパンは1回戦とは比べものにならないくらい短い。やたら目まぐるしく、チームA、チームCと城主が変わっていく。

短時間で城主が入れ替わるすさまじい激戦となった。

 ふと気が付くとメディアチームは的確にギルドマスターを狙われすぎて身動きが取れなくなりつつあった。ギルドマスターの復活を待つ間は進軍が止まってしまうのだ。

 そんな我々がいまから城に単独で突っ込んでも、まず城主にはなれない。ならばどうするか。

城門前で全員陣取り、マスターを殴った人とよそのマスターを全員で倒す構え。

 よし、敵ギルマスを狙おう。傷跡を残して参加者の皆さんの記憶に残るにはこれくらいしか手がなかったのだ。

 そんなことばかりしていた終了間際、正確には終了直後に、チームCからチームDに城主が変わるという事態が発生。連合同士でどういうことかと思ったら、彼らは城の所有権を、あえて連合ギルドのマスター同士で渡し合ったのだ。

守り続けるのは難しいと判断し、CからDに城主の座を渡して一旦城内を仕切り直しにして、防衛の時間を稼いだわけだ。

 まさかこの2回戦の場で、そんな作戦を思いつくとは想像もしていなかった。我々メディアチームが早めに気付けていれば、受け渡しがうまくいかないようにチームCとDに粘着を絞り、場をかき乱していたことだろう。

 そんなおいしい役割で傷跡を残せたはずの我々が、残り時間1分頃に何をしていたかと言えば。

城門前、ダンスエモートで皆をお出迎え。かわいかろう。

 結果、作戦が功を奏したチームCとDの連合が勝利。我々が2回戦でできたことといえば、城門前に陣取って、通りかかるギルドマスターにばかり殴りかかるという弁慶ムーブだった。

攻城戦体験ではギルドマスターへの集中攻撃が有効すぎたように思える。違和感を覚えた反王氏からはくしん氏へと直接訴えかけられた。この意見も、今後の調整に影響するかもしれない。

 こうして2回戦もあっという間に終わった印象だったが、1回戦から通しての感想を述べさせていただくと、全体的に‟自由に動けた”ように思う。

 筆者もGvGの経験はけっこうあるが、だいたいのゲームのGvGでは持ち場を決められ、ひたすら役目をこなし続けることが多かった。だが、本作では3クラスをプリセットでいつでも切り替えられるため、役割をその場その場で変えられる。

ルール自体も簡単でエリアも3つと、単純明快な戦闘になっていたのも自由に感じた一因だと思う。GvGでこんなに好き勝手に走り回ったのは初めてだ。

 自由すぎるあまり、ちょっと離れた隙に自分のギルドのマスターが暗殺されていたりする場面も多かったが、これはボイスチャットでのコミュニケーションや作戦の伝達が足りなかったからだろう。

 この自由さを前提に、通話などで連携も取れるとなると、これまでのタイトルのGvGとはまったく異なる戦いかたができそうだ。今回の“城回し”のような奇策がとっさに成立したのも、ルールの単純明快さと自由度によるところが大きいと思う。

目の前で魔法障壁を展開されて足止めされたときのやられた感も強く記憶に残った。守りについても、臨機応変に対応できるルールだと思う。
宝珠などで暗闇デバフを付与し、視界を奪うのも有効に感じた。ほかにも攻城戦で役立ちそうなスキルが多数あり、研究しがいもありそうだ。

 筆者たちメディアチームはこのように大人げなく、なおかつ自由を満喫しつつ楽しませていただいたが、ほかのチームの連携や作戦がどうなっていたかも気になるところだ。今回の参加者は全員が公式クリエイターなので、どんな報告をしてくれるのかも楽しみなところ。

 当イベントの様子を録画した動画が『HIT : The World』公式YouTubeチャンネルにて、2024年4月9日(火)夕方ごろから公開予定となっている。本作のGvGやゲーム自体の内容に興味を持ったという皆さんには、ぜひこちらもご覧いただきたい。

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