Activision Blizzardがチートツールの開発と販売を行うEngineOwningに法廷で勝利し,EngineOwningに対して日本円で約22億円という巨額の損害賠償に加えて,弁護士費用の支払いやドメインネームを引き渡すよう命令が下された。


 カリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所の判決では,EngineOwningがActivision Blizzardのゲームソフトを不法に侵害し続けていることで,デジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act/DMCA)に違反しているというActivision Blizzard側の主張を完全に認めた。

 これにより,EngineOwningに対して,1446万5600ドル(約22億7000万円)という巨額の損害賠償の支払いに加え,29万ドル(約4500万円)あまりのActivision Blizzard側の弁護費用を肩代わりし,さらには「www.EngineOwning.to」のドメインネームの引き渡しの命令が下された。

 約22億円という賠償金額については,米国で販売された「Call of Duty: Modern Warfare III」および「Call of Duty: Warzone」向けチートツールの7万2328人分のアカウント総数を証拠とし,それぞれにDMCAが規定する最低賠償金額の200ドルを掛けたものとなる。法廷では,チーターとしてBAN(利用停止措置)されている何千人分もの名前が1人ひとり読み上げられたと,海外メディアInsider Gaming(リンク。英語)などが報じている。


 EngineOwningは,2014年以降にゲーム業界で暴れ回ってきた最大級のチートツール業者だ。「コール オブ デューティ」シリーズをはじめ,「バトルフィールド」シリーズ,「Counter-Strike 2」「タイタンフォール 2」など,メジャーなタイトルのマルチプレイ向けチートツールを月額で販売していた。

 Activision Blizzardは,2021年にコール オブ デューティシリーズのチート対策プログラム「RICOCHET Anti-Cheat」(関連記事)を開発してチーターの取り締まりを強化。今回の裁判は,2022年1月に提訴されたものであり,すでに2023年6月には「オーバーウォッチ 2」についてもEngineOwningに勝訴して3億ドルを獲得しているだけでなく,ほかのチートツール業者を倒産に追いやるなど,チート行為撲滅に向けての手を緩めていない。

 EngineOwningは,今回の裁判について公式フォーラム(リンク。英語)で声明を出している。裁判でチートツール購入者の名前が読み上げられたことについて,その名前は過去にBANされている古いユーザーのものだと強調するとともに,現在の顧客の個人情報は安全だと主張している。

 合わせて,ドメインネームの強制移譲が予想されることから,バックアップのドメインを公開し,さらにCall of Duty: Modern Warfare IIIとCall of Duty: Warzoneで有料チートツールが検出されなくなったら,無料ライト版のチートツールの開発に取り組むとしており,まったく引き下がる様子はないようだ。

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