ニュージーランドに拠点を置くLegend Story Studiosは,TCG(トレーディングカードゲーム)「フレッシュ&ブラッド(Flesh and Blood)」の第13弾パック「霧隠の秘境(Part the Mistveil)」を2024年5月31日に発売する。今回のパックでは待望の日本語版が登場し,同社の本格的な日本進出が始まるという。


 これを記念して,先行体験イベント「ワールドプレミア:『霧隠の秘境(Part the Mistveil)』」が5月17日から19日にかけて東京のベルサール高田馬場で開催された。4Gamerも初日に参加してきたので,本稿ではその模様をお伝えしよう。

 なお,10月31日から11月3日にかけて大阪で開催される世界選手権も,今回のイベントと似たような雰囲気になるはずだ。本戦の出場権を持っていなくても多数のサイドイベントを楽しめるので,興味が出た人はスケジュールを空けておこう。

カードショップやアーティストのブース出展もあり,空き時間には買い物もできる


誰でも参加できるカジュアルさと,真剣勝負の楽しさを両立したイベント


 ワールドプレミアは10:00にスタート。平日(金曜日)開催であるにもかかわらず,事前に800枚のチケットは完売し,会場には国内外から多くのプレイヤーが集まった。日本人と外国人の割合は同じくらいだ。

日本語版のカードを選択した人のエリア

 今回のフォーマットは,配られた8パックを開封し,その場で30枚のデッキを組んで戦う「シールド」。スイスドロー形式の全4回戦で,成績に応じて,パックやプロモカードと交換可能なチケットを獲得できる。全勝すれば28パック相当のチケットがもらえるので,真剣勝負となっている。

 こうしたシステムは「マジック:ザ・ギャザリング」の競技プレイヤーにとってはおなじみのようだが,そうでない筆者の目には新鮮に映った。

チケット プライズウォール(景品交換所)

 開会式では,CEOのJames White氏が挨拶し,英語版しかない時代から支えてくれた既存プレイヤーへの感謝を語った。そして,黄色いユニフォームのジャッジたちが各プレイヤーにパックを配り,デッキ構築の時間に。時間はたっぷり1時間あったので,余裕を持ってデッキを組めた。


 プレイヤーの分身となるヒーローの選択肢は,忍者の「ゼン」,暗殺者の「ヌゥ」,幻術士の「エニグマ」の3種類。ゼンはヒーロー能力でデッキから「コンボ」カードをサーチして戦うヒーロー,ヌゥは豊富な「攻撃リアクション」を駆使して戦うヒーロー,エニグマは攻防一体の「結界」を展開して戦うヒーローという印象を受けた。


 以前のインタビュー(関連記事)で,3ヒーローの中で最も簡単だと聞いていたゼンを使いたかったのだが,強力なコンボカードをほとんど引き当てられず挫折。次に簡単なヌゥでイベントに出場することにした。事前の計画通りにいかないのもシールドの面白いところだ。

 1回戦では,今日から始めるという完全初心者とマッチし,ルールを教えながらプレイして勝利。ワールドプレミアはカジュアルなイベントなので,このように先輩プレイヤーがルールを教える光景はよく見られたのだが,筆者も日本語版によってプレイヤーが増えていることを実感し,うれしく思った。

会場では初心者向けの無料体験会も行われていた

 続く2回戦は,ベテランプレイヤーとの勝負に。この試合は,相手のゼンの攻撃を防御していると,すぐにデッキが尽きてしまい,残念ながら敗れてしまった。

 このとき相手プレイヤーから,「シールドは通常の競技フォーマット『クラシック』よりもデッキ枚数が少ないので,もっと攻めたほうがいい」とアドバイスをもらったのだが,これを生かすことで3回戦のゼン戦では勝利を収められた。

カード効果の日英対訳本も配布され,外国人との対戦で非常に役に立った
 最終戦の相手は,香港から来たエニグマ使い。外国人との対戦は不慣れなので緊張したが,お互いに基本ルールを把握していたこともあり,問題なくコミュニケーションを取れた。言語は簡単な英語を使用することが多いが,アジア圏の外国人プレイヤーの中には,日本語を話せる人も結構いて驚いた。

 試合内容はまさに完敗で,お見事の一言。当然のことではあるのだが,外国人プレイヤーはわざわざ日本にまで足を運んでいるわけで,強豪だらけだ。

 全4回戦を終え,自分よりもプレイ歴の短い2人に勝ち,自分よりもプレイ歴の長い2人に負けるという順当な結果に。レベルや国籍に関わらず交流して楽しめるカードゲームの良さを実感できるイベントだった。

 なお,カードゲームの中には運が良ければ勝てるものも多いが,フレッシュ&ブラッドの勝敗は実力が反映されやすい。初心者で慣れないうちは,ほとんどのプレイヤーが苦戦すると思うが,落ち込まずにがんばってほしい。

 目先の勝ち負けにこだわらず,成長していく過程を楽しめる人には,とくにおすすめしたいタイトルだ。

競技大会「コーリング:東京」も5月18日から19日にかけて併催された。詳細は,公式サイトの記事を参照してほしい

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