三井物産は9日、米国の太陽光発電設備の建設費用などに今後2年間で約300億円を投資すると発表した。米国で小売事業を手掛ける子会社を通じて電力系統に売電するほか、企業や工場などへの直接供給にも対応する。
米テキサス州中部の丘陵地帯ヒルカントリーに土地を確保し、設備容量が15万キロワットの太陽光発電所の建設を4月30日に始めた。2026年に商業運転を始める。テキサス州は発電所の立地によって系統への買電価格が決まる仕組みを採用している。ヒルカントリーはダラスやヒューストンといった人口集中地域に近いことから比較的高値で買電できる。
テキサスの再生可能エネルギー比率は発電量ベースで3割あるが、多くは風力由来で太陽光の成長余地が大きいことも投資の決め手となった。市場の動向を見ながら追加投資も検討する。
発電した電気はテキサスを中心に米国で年間60万キロワットの電力の小売・卸売などを手掛けるミツイエナジーマーケティング&サービシーズ(MEMS)を通じて供給する。MEMSは25年から蓄電容量30万キロワット時の蓄電池の運用を始める。発電した電気をためておき、より高値で売れるタイミングで供給することも視野に入れている。
米国はインフレ抑制法(IRA)による政府支援で太陽光発電の需要が伸びる見通しだ。伊藤忠商事が大規模太陽光発電所(メガソーラー)の開発事業に乗り出したほか、出光興産も太陽光発電事業に力を入れている。
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