研修施設での入校式(8日、滋賀県栗東市)

積水ハウス建設ホールディングス(HD、大阪市)は8日、大工を中心とする職人候補として高校新卒ら134人が4月に入社したと発表した。前年の39人の3.4倍。同社は積水ハウスが建設する住宅の基礎工事などを担う子会社。少子高齢化を背景に将来、職人不足に陥るリスクが高い。給与面の待遇も改善しながら、自社で育成する体制を整える。

8日には滋賀県栗東市にある職人の研修施設で入校式を開いた。全寮制の施設で半年間、基礎工事や内装工事などを学び、卒業後まもなく現場で職人としての仕事を始める。

出席した静岡県の高校出身の増田幸奈さん(18)は「後輩にも優しく教えられるマスタークラフター(親方級の職人)になりたい」と話した。積水ハウス建設HDの大村泰志社長は「今日から皆さんは住宅施工のプロフェッショナルとしての第一歩を踏み出す」と訓示した。同様な国内施設はほかに2カ所ある。

採用増の理由の一つは、建設業でも4月に適用された時間外労働の上限規制だ。積水ハウス建設HDの三宅寛・総務人事企画部長は「各社が採用を強化しているが、当社は内部で育成する方針だ」と説明した。

この春の職人の採用計画は2023年5月時点で95人だったが、想定以上の応募があり、134人に枠を広げた。25年春も同水準の採用を見込む。

給与面の待遇も改善する。職人の初任給は24年4月に前年より最大9%引き上げた。同時に職人が身に付けるべき能力を基礎、建方、内装の3つに分けた「スキルマトリックス」という評価システムを新たに導入した。スキルを高めれば30代の年収は約900万円に達し、従来の最大2倍弱になる。

積水ハウス建設HDは積水ハウスが受注した戸建て住宅や賃貸住宅のうち、主に基礎工事に加えて柱や梁(はり)をくみ上げる「建方工事」を担う。内装を含む本体工事は全国の協力工事店が施工するケースが多い。

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