訪日外国人向けの販売も円安で好調さが続きそうだ(高島屋日本橋店)

高島屋は12日、2025年2月期の連結純利益が前期比8%増の340億円になる見通しだと発表した。3年連続で最高益を更新する。インバウンド(訪日外国人)向けの販売や国内客への高級品が伸びる。9月に実施する株式分割前のベースで見た年間配当は3円の増配と、株主還元も拡充する。

売上高に当たる営業収益は7%増の4970億円を見込む。主力の国内百貨店の店舗売上高は5%増の8266億円を計画する。免税売上高は24%増の850億円を見込み、過去最高だった前期(687億円)を上回る。

高級ブランドのバッグや時計、宝飾品といった高額品が伸びる。足元の株高による資産効果が追い風となる。円安もインバウンド向け高額消費を喚起する要因になる。同日の決算会見で村田善郎社長は「外商を中心とした富裕層の消費が堅調」と述べた。その上で「賃金改善や価格転嫁で、循環のインフレーションが進んでいけば中間層の伸びも堅調に推移していくのではないか」とみる。

相対的に利益率が高い衣料品も、外出機会の増加で好調な販売が続くとみる。

営業利益は9%増の500億円を見込む。業務の内製化や重複する業務の見直し、デジタルトランスフォーメーション(DX)に伴う効率化などで、販管費の伸びを抑える。国内百貨店事業の総額営業収益に対する販管費の比率は、前期並みにとどまりそうだ。

海外百貨店の部門営業利益は3%増を計画する。上海やベトナムで、売上高の増加を伴う営業増益を見込む。タイの百貨店も営業赤字が縮小する見通しだ。

9月1日に1株を2株とする株式分割を実施する。分割前のベースでみた年間配当は40円と、前期(37円)から3円増える見通しだ。4月26日に発行済み株式数の7.8%にあたる自己株式1393万1873株を消却することも決めた。

併せて25年2月期からの3カ年の新中期経営計画を発表した。自己資本利益率(ROE)で8.0%、投下資本利益率(ROIC)で6.2%の目標を掲げた。24年2月期時点はそれぞれ7.3%、5.5%だった。

営業利益は前期比25%増の575億円を目指す。3年間で得られる営業キャッシュフローは2500億円を見込み、設備投資に2200億円を投じる。海外の商業開発の投資は国内を34%上回る510億円を計画する。ベトナムを最大の成長市場と位置づける。株主還元には200億円、財務の健全性確保に100億円をそれぞれ充てる。

12日発表した24年2月期の連結決算は純利益が前の期比14%増の316億円だった。インバウンドの回復や、新型コロナウイルスの5類移行に伴う外出機会の増加などが寄与した。年間配当は11円増の37円とした。

(米田百合香)

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