日立製作所子会社の日立エナジーは24日、ドイツで長距離送電に適した「高圧直流送電(HVDC)」の設備を受注したと発表した。受注金額は設備導入と保守サービスなどで20億ユーロ(約3260億円)超。北海沿岸の風力発電設備から中西部の工業地帯にロス少なく電力を運ぶ送電網を構築する。
ドイツの送電事業者アンプリオン社からHVDCの変換設備4基を受注した。ドイツ北部の洋上・陸上の風力発電所で生み出した電力を直流に変換して、内陸の工業地帯などの需要地に運ぶ。2030年初頭に稼働し、400万世帯分の電力を送る。
電力を交流のままで長距離送電すると電力ロスが大きい。日立が得意なHVDC技術を使って直流に変換してロスを減らし再生可能エネルギーを安定的に需要地に供給する。ドイツ国内を南北に結ぶ2つの系統の距離は合わせて640キロメートルとなる。
世界的な再生可能エネルギー普及とデータセンター建設ラッシュによって日立エナジーの送配電網は高水準の受注が続く。24年9月末時点で、日立エナジーの受注残は5兆3000億円規模と、同社の年間売上高の2.4倍分にのぼる。
今回の受注も、生産能力を先立って確保する「キャパシティー・リザベーション・アグリーメント」を23年9月に締結し、具体的な設備仕様を決めた上で本契約を結んだ。こうした措置が必要なほど日立エナジーの供給は逼迫しており、同社は今後3年間で60億ドル(約9400億円)を投じて変圧器や開閉装置などの供給能力を高める方針を示している。
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