村田製作所の生産子会社、出雲村田製作所(島根県出雲市)は島根県安来市で検討している新工場について、用地取得に向けた協議を県と安来市に申し入れた。協議が順調に進めば2025年4月にも協定書を締結し、用地造成に着手する。出雲村田は最大1000人程度の雇用を計画しており、県や安来市は若い世代などの地域への定住拡大に期待する。
出雲村田は安来市切川地区の約21ヘクタールの土地について取得を検討する。県が造成し売却する方式を提案してきた。県や市は同社の進出をにらみ、山陰自動車道で安来スマートインターチェンジ(IC)の新設を推進するなど地ならしも進めた。
3者は24年1月に用地造成に向けた調査を始めることで合意した。県は地権者の売却意思を確認し、地質調査に基づいて想定する145億円程度の予算内で造成できるとの見通しを伝えた。これを受けて出雲村田は協議入りを決めた。
同社は安来市を選んだ理由について、本社の出雲市から1時間程度で移動できるほかエリア外からの新規採用が見込めることなどを挙げた。新工場は30年の竣工を計画する。詳細については「需要状況などを見極めて判断する」とした。
協議申し込みを受け、丸山達也県知事は「立地が実現すれば、地域経済の活性化や定住促進に大きな効果が期待できる」とコメントした。田中武夫安来市長も「市内の雇用増大が見込める」と歓迎した。
村田製作所はスマートフォンや自動車に使う電子部品「積層セラミックコンデンサー(MLCC)」で4割の世界シェアを持つ。出雲村田は福井県の生産子会社と並ぶMLCCの旗艦工場で、出雲市と島根県大田市に工場がある。
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