【試算】年収ごとの減税額

103万円の控除額を123万円に引き上げた場合、年収ごとの減税はどうなるのか。

大和総研と第一生命経済研究所の試算によりますと、社会保険に加入し配偶者控除が適用されないひとり暮らしの働く人などの場合、例えば、年収150万円だと年間2万円の減税になると見込まれています。

年収200万円と300万円の場合年間5000円
年収500万円と600万円の場合年間1万円
年収800万円と1000万円の場合年間2万円
になると見込まれています。

また、第一生命経済研究所の試算では、
年収1200万円の場合年間2万3000円
年収1500万円の場合年間3万4000円
になると見込まれています。

「住宅ローン減税」子育て世帯などへの優遇措置 1年間延長へ

年末の住宅ローンの残高に応じて所得税や住民税が減税される「住宅ローン減税」の子育て世帯などに対する優遇措置は、1年間、延長することが盛り込まれました。

減税対象となる借入額の上限が子育て世帯などは
「長期優良住宅」5000万円
消費エネルギー実質ゼロの水準を満たした住宅4500万円
省エネ基準に適合した住宅4000万円と優遇されます。

このほか、生命保険の支払額の一部を所得税の課税対象から差し引く「生命保険料控除」について、子育て世帯の遺族保障の枠の上限額を4万円から6万円に拡充する措置を2026年に実施することも盛り込まれました。

高校生などの扶養控除の縮小 結論先送りに

一方、高校生などを扶養する親の扶養控除の縮小については、結論が来年以降に先送りされました。

政府・与党は、去年、児童手当の対象の拡充に伴い、高校生などを扶養する親の扶養控除について、▽所得税の課税対象からの控除額を年38万円から25万円に、▽住民税の控除額を年33万円から12万円にそれぞれ引き下げる案を示し、ことしの議論で結論を得るとしていました。

児童手当の増額分が控除の縮小に伴う税負担を上回る設計で、所得税は2026年分から、住民税は2027年度分から適用するとしていましたが、その年は今の水準を維持し、来年以降、結論を得るとしています。

【詳しく】令和7年度 税制改正

【詳しく】与党税制改正大綱

「年収103万円の壁」は、20日決定した与党の税制改正大綱で、103万円の控除額を来年から123万円に引き上げることが明記されました。

所得税では、収入や所得から一定額を差し引く「控除」の仕組みがあり、給与を得て働く人は「基礎控除」の48万円と「給与所得控除」の55万円をあわせた103万円を年収が超えると所得税が生じます。

103万円から123万円への引き上げ幅の根拠について、与党は、現在の控除額となった1995年当時から比較した食料や光熱費など生活に欠かせない品目の物価上昇率を踏まえたとしています。

123万円への引き上げにあたっては、所得税の基礎控除を現在の48万円から58万円に引き上げます。

また、給与所得控除は、年収が低い層に適用される「最低保障額」をいまの55万円から65万円に引き上げます。

年収が190万円までは「最低保障額」として65万円が控除されます。

年収が190万円を超えてからの控除額は、従来と変わりません。

控除額は、195万円を上限に、年収が850万円を超えるまでは徐々に増えていく仕組みです。

今回の改正では地方税である住民税の給与所得控除の額も見直します。

所得税と同様に「最低保障額」を10万円引き上げて65万円とします。

ただ、その一方で、基礎控除については、地方から大幅な減収への懸念が示されていたことも踏まえ、据え置くとしています。

一方、大学生などを扶養する世帯の税負担を軽減する「特定扶養控除」の年収要件も見直し、新たに「特定親族特別控除」を導入します。

これまでは子の年収が103万円を超えると親が63万円の控除を受けられなくなっていましたが、子の年収の上限を150万円に引き上げ、それまでは控除が受けられるようになります。

123万円を超えたあとは、「特定親族特別控除」となり、150万円を超えた後も、控除額を段階的に減らす仕組みを導入し、収入が増えたにも関わらず世帯としての手取りが減ることはないようにします。

具体的には、子の年収が▽160万円なら控除額は51万円、▽170万円なら31万円などとし、▽188万円を超えると控除額がゼロになります。

また、パートで働く妻などを扶養する世帯の税負担を軽減する「配偶者特別控除」についても、配偶者の年収要件がいまの150万円から160万円に引き上げられます。

「103万円の壁」 いまの制度はどうなっている?

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