目次
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クリスマス商戦では“プチぜいたく”?
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忘年会需要 大人数での予約の回復顕著
年の瀬のアメ横 仕入れ値上昇の食材も
正月向けの食材などを扱う東京・上野のアメ横商店街です。
仕入れ値が上昇している食材も多い中、年末年始に向けて消費が活発になることを期待する声が聞かれました。
このうち、カニを中心に扱う店では、カニの仕入れ値が上昇傾向にあることから、相場が下がる時期に大量に仕入れることで、販売価格を例年並みに抑えているということです。
大橋磨州 社長
「水産物は物価高という以上にどんどん値段が上がっていて、値付けはギリギリのところで頑張っている。いいものにお金を使おうという傾向は店頭で実感しているので、お正月こそはふだん控えていた魚を食べようという消費のしかたに変わっていくのではないか」
また、乾物を扱う店では、仕入れ値の上昇を受けて、かつお節を削って袋詰めにする際、1袋あたりの量を減らすことで価格を据え置いたほか、昆布は去年に比べて2割から3割ほど値上げしたということです。
オーナー 山崎若菜さん
「必要なものを必要なだけ買っていく消費者が多い。簡単に料理に使える商品や手に取りやすい価格にするため小分けにした商品も用意しているので、正月には日本の味を楽しんでもらいたい」
消費者からは… 「給料より出費のほうが多い」
正月用のカニやイクラを買いに訪れた60代の女性
「ふだんは給料よりも出費のほうが多くなるなど、物価高の影響は厳しい。年末は、子どもたちが帰ってくるのにあわせてその分の予算は別で考えていてみんなでおいしいものを食べたい」
千葉県から訪れた80代の男性
「少しずつモノの値段が上がっているけれどそれはしかたがない。1年に1回くらいはふだんよりお金を使って1年を終えたい」
11月消費者物価指数「米類」上昇幅は過去最大
クリスマス商戦では“プチぜいたく”?
消費者の節約志向が続く中でも、にぎわっている現場があります。
全国で43店舗を展開する大手家電量販店のおもちゃ売り場ではクリスマス商戦が本格化していて、都内の店舗には子どもなどへのプレゼントを選ぼうと多くの人が訪れています。
運営会社によりますと、11月の全国の店舗でのおもちゃの売り上げは、去年の同じ月を上回っていて、12月に入ってからも同様の傾向が続いているほか、1万円を超えるような高価格帯の商品の売れ行きも好調だということです。
おもちゃメーカー「バンダイ」の調査では、子どもへのことしのクリスマスプレゼントの予算は物価高などを背景に平均で8138円と去年より420円増えているということです。
5歳の息子と訪れた女性
「クリスマスに向けて、毎日少しずつ節約しています。子どものために親が頑張るところかなと思っています」
6歳のおいへのプレゼントを買いに来た男性
「ふだんは少しでも安いものを買っています。いまの時期くらいは少しでも前向きに明るくしたいので、きょうだけは景気がいいです」
「ビックカメラ有楽町店」栗山由佳 主任
「クリスマスの時期はお子さまが喜ぶことを第一優先に、いつもより奮発して商品を購入する傾向があります。店頭での商品選びも楽しんでもらいたいです」
忘年会需要 大人数での予約の回復顕著
そして、年の瀬といえば、忘年会です。
居酒屋チェーンの中には、ことしの忘年会需要の盛り上がりに期待を寄せるところもあります。
居酒屋チェーンを運営する「ワタミ」によりますと、12月にコース料理を予約した客の数は、コロナ禍前を上回った去年の同じ月からさらに6%増え、売り上げも10%増えると見込んでいます。
このうち、東京・港区にある店舗では、12月のほとんどの日程が予約で埋まっているということで、取材に訪れた17日には、午後6時ごろから続々と客が訪れて、料理やアルコールなどを楽しんでいました。
会社の同僚と訪れた50代の男性
「頑張ってきた仲間と1年の最後に飲めるお酒は格別です」
20代の女性
「新しい部署に配属されてまだ3か月なので、いろいろな人と飲んで、仲よくなれたらうれしい」
50代の男性
「最近は忘年会の回数が少なくなったと感じます。忘年会に行く時は、盛り上がって飲みたいので財布のひもも緩みます」
会社によりますと、コロナ禍の影響で忘年会を少人数で行うケースが増えましたが、ことしは企業などによる大人数での予約の回復が顕著で、12月の予約のおよそ8割が7人以上のグループだということです。
また、5000円以上のコースを頼む割合が去年は17%でしたが、ことしは30%に増加していて、会社では2次会を行わない分、1次会に多くの予算をかける傾向が強まっているのではないかと分析しています。
居酒屋チェーン運営会社 坂本まゆさん
「物価上昇の影響で、忘年会の予約がどの程度入るのか心配しましたが、例年以上の盛り上がりとなり、安心しています。1年の締めくくりとして楽しんでもらいたいです」
来年の物価と個人消費はどうなる?
今後、物価と消費の動向はどうなるのか。
みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介チーフ日本経済エコノミストに聞きました。
物価と個人消費の現状
「実質的な所得環境は徐々に改善してきているが、足元ではコメや野菜など頻繁に購入する生活必需品の価格高騰が続いているため、消費者が感じる体感物価は上がっており、節約志向も強まっている」
節約から変化の動きも
「年末年始は、今まで我慢してきた分、『プチぜいたく』をして楽しみを見いだす動きが出てきているのではないかと思う。冬のボーナスが好調な伸びとなっていることも消費を後押ししている要因の1つと考えられる」
来年の物価や個人消費の見通し
「実質賃金が改善していってもプラス幅は決して大きくなく、物価高や円安が落ち着くことも考えにくい。消費者の節約志向は来年も強いままだと予想され、個人消費の回復ペースも緩やかなものとなるだろう。来年もその先も、賃金が持続的に物価を上回って上昇するという期待を抱ける環境を実現することが重要だ」
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