経済産業省は17日、新たな「エネルギー基本計画」の原案を示した。東京電力福島第1原子力発電所の事故以降、可能な限り依存度を減らすとしていた原発について、「最大限活用する」に転換。二酸化炭素(CO2)を出さずに安定して発電する重要な電源と位置付けた。廃炉した原子炉を建て替えることを初めて明記し、新設を事実上認めた。(鈴木太郎)

◆デジタル化で電力需要は増えると想定

エネルギー基本計画を議論する審議会に臨む有識者ら

 2050年に温室効果ガスを排出ゼロにする目標の達成に向け、40年度の電源構成の見通しを明記した。政府はエネルギーを多く消費する産業の電化やデジタル化の進展により、電力需要が増えると想定。23年度比で1〜2割程度増えると想定した40年度の年間発電量を満たすため、「原発も再生可能エネルギー同様に推進する」との考えにかじを切った。  一方、40年度の電源構成に占める原発の割合は、現行計画が30年度目標に示した割合に近い「2割程度」にとどめた。年間の総発電量自体は30年度目標から増える可能性が高いが、既設炉の運転延長と再稼働だけでも達成可能な値とした。  全ての原発の運転可能な期間を60年間とすると、40年代には、既存原発が相次いで運転終了を迎える。建設から稼働まで20年ほどかかるとされる原発は、40年代以降も「必要な規模を持続的に活用する」とした。  今回の原案には、廃炉した敷地内での原子炉の建て替えに加え、廃炉した分の原子炉を別の原発敷地に「建て替え」として新設することを認める文言を初めて記載。減少する原子力専門人材を確保する必要性や、電力会社が大規模投資をしやすくする制度設計の必要性も盛り込んだ。  原案は意見公募(パブリックコメント)などを経て、年度内にも閣議決定される。   ◇  第7次エネルギー基本計画の原案には、原発を「最大限活用」するとの記載が盛り込まれた。原発の危険性や非合理性を訴え続ける龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)に、公表に至るまでの議論の問題点などを聞いた。(聞き手・鈴木太郎)

◆「福島の反省」どこへ

龍谷大の大島堅一教授

 ―「依存度低減」から「最大限活用」に180度転換したことをどう受け止めるか。  ...

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