記者会見するユカリアの三沢英生社長(12日、東京都中央区)

病院向けに経営支援などを手掛けるユカリアが12日、東京証券取引所のグロース市場に上場した。初値は公開価格(1060円)を85円(8%)下回る975円となり、終値は981円だった。同日、東証で記者会見した三沢英生社長は「病院・介護施設の経営安定化と職員の所得向上、患者や要介護者のウェルビーイングという『三方よし』を実現したい」と語った。主なやりとりは以下の通り。

――初値への受け止めは。

「現時点での評価だと考えている。スタートラインということで、市場の期待に応えられるよう全力でまい進したい」

――事業の概要は。

「病院経営サポートを中心とした医療経営総合支援事業を中核としている。シニア関連事業としては介護施設事業を展開し、さらに医療介護のデジタル化推進やビッグデータ利活用など幅広いバリューチェーンをもっている。2005年の創業以降、病院経営を軸に事業開発とM&A(合併・買収)を通じて事業領域を広げてきた」

――サービスの特徴は。

「最大の特徴は病院経営のあらゆる課題に自社単独で対応できることだ。コンサルティングだけではなく、資金調達から購買、地域連携、病院の建て替えまで、病院のさまざまな課題を解決する」

「病院の再建と持続的な成長を実現可能とする独自のモデルを持つ。経営マインドを持った医師・看護師に加えて薬剤師や財務の専門家、1級建築士など、多様な人材がそろっている」

――上場の狙いは。

「日本には約8000病院があるが、約7割が赤字とされる。当社の支援先は経営難に陥っている病院が中心で、支援を必要とする病院は多い。さらに医療・福祉施設が新型コロナウイルス流行下で受けた実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が25年に本格化する。病院経営を取り巻く環境は厳しさを増している」

「コロナ禍を経て、我々のビジネスには極めて公的な側面があると確信した。社会課題を解決するには今の規模では力が不足していると感じた。事業を拡大するとともに仲間を増やす必要があると考え、最速のタイミングで上場を決めた」

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