11月のビール販売は家庭向けの缶商品を中心に堅調に推移した(東急ストア渋谷サクラステージ店)

ビール大手4社が10日に発表した11月のビールの販売数量は、前年同月比0.1%増で5カ月連続のプラスだった。23年の減税以降、家庭向けの缶商品を中心に堅調に推移した。第三のビールは振るわず、ビール系飲料全体に占めるビールのシェアは5割を超える水準で推移している。2024年通年では55%以上と、07年以来17年ぶりの高水準となる見通し。

11月のビール系飲料は0.1%減と2カ月ぶりにマイナスとなった。発泡酒が10%増で2カ月連続でプラスとなったが、第三のビールは6%減で2カ月ぶりのマイナスとなった。

企業別のビール系飲料の販売数量では明暗が分かれた。サントリーは「サントリー生ビール」などが好調で6%増、サッポロビールも1%増だった。一方でキリンビールは3%減で、金額ベースのみを公表しているアサヒビールは1%減だった。

各社の主力ブランドは前年のビール減税に伴う需要増加や限定品の投入などからの反動もあり軒並みマイナスとなった。アサヒの「スーパードライ」が1%減、キリンの「一番搾り」が4%減、サントリーの「プレミアムモルツ」が4%減、サッポロの「黒ラベル」が6%減だった。

年間のビール系市場におけるビールシェアは、09年に5割を下回って以降低迷が続き、新型コロナウイルス禍の20年には約38%までシェアを落とした。第三のビールなどの低価格品が市場を席巻したためだ。それが、20年から始まったビール減税が追い風となり、23年には6年ぶりにシェアが5割を超えた。

24年も各社の新商品の投入が奏功したほか、夏の猛暑やインバウンドの増加でビールの販売数量は1〜11月累計で前年同期比5%増、シェアも55%台で推移し好調が続く。

12月は忘年会シーズンを迎えるなか飲食店での需要の後押しでビールのシェアがさらに伸びるとの見方もある。キリンの堀口英樹社長は「減税によりビールが消費者の手に届きやすくなった。各社も力を入れているなか、25年も伸びる可能性がある」とみる。

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