キリンも国内のシェア競争から抜けだし、収益重視の販売に転換する(同社の「一番搾り」と「氷結」)

キリンビールは11日、2025年1月からビール系飲料の販売実績の公表方法を変えると発表した。これまでの販売数量ではなく、販売金額での公表に切り替える。ビール大手4社ではアサヒビールが既に金額ベースに切り替えている。キリンも国内のシェア競争から抜けだし、収益重視の販売に転換する。

ビール系飲料と缶酎ハイなどアルコール飲料(RTD、レディー・トゥー・ドリンク)の実績の開示方法を金額ベースに変える。切り替える理由について、キリンの堀口英樹社長は「販売ボリュームではなく、商品バリューを追求して消費者に提供するのが本質だ」と説明した。

「一番搾り」や「本麒麟」など主要ブランドの実績はこれまで通り販売数量で開示する。「生産や物流の観点から個別ブランドは数量で示したほうが分かりやすい」(堀口社長)という。

ビール業界では1992年から使用してきたシェアの算出根拠となる各社の課税出荷量の公表を2018年でやめた。大手4社は販売量による公表のみとし、シェアを半年ごとに推計できたが、アサヒが先行して20年からビール系飲料の販売実績を金額ベースに切り替えた。

キリンも以前から開示方法の変更を検討していたという。堀口社長は「数量ベースでのシェア争いはあまり良くないと思っていた。社内で立てる目標も主に金額ベースにしている」と話した。25年からはサントリーとサッポロビールのみが数量ベースでの開示となるが、業界トップ2社の動きが波及するかも注目される。

同日、グループ飲料事業会社のキリンビバレッジも25年1月分から清涼飲料などの販売実績を数量から金額に切り替えると発表した。発表日も従来の翌月の第8営業日から第14営業日にする。

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