今年1月に始まった新たな少額投資非課税制度(NISA)を通じ、5割近くの資金が国内株式へ流入していたことが日本証券業協会の調べで分かった。海外投資家主導で日経平均株価が初の4万円を突破した勢いを、個人投資家もうまく捉えたようだ。
日証協が野村証券やSBI証券など対面・インターネットの大手10社を対象に実施した調査によると、1~3月のNISA経由の買い付け額のうち、国内株が47%を占め、投資信託の50%に肩を並べた。株価が上昇基調を強めたことに加え、非課税投資枠が大幅に拡大されたことが後押ししたとみられる。
大和証券の吉田光太郎常務執行役員は「NISA経由の買い付け額は前年同期比3倍強。8割が株式、2割が投信で、株式のほとんどが日本株だ」と説明する。
特に人気なのは、安定して高配当収入が得られる銘柄だ。SBI証券によると、今年度の1株当たりの年間配当予想が194円の日本たばこ産業(JT)が首位で、NTT、三菱UFJフィナンシャル・グループと続く。東証が昨年3月、上場企業に「資本効率や株価を意識した経営」を要請し、配当を含む株主還元を重視する企業が増えている。国内株投資は為替変動リスクも低い。
一方、ハイテク企業が主導する米国などと異なり、日本では人口減少で市場縮小が見込まれ、国内企業の成長性を悲観する向きもある。新NISAでは海外株を中心に構成する投信の人気も高く、「家計資金の海外流出」(市場関係者)を嘆く声も多い。
初心者向けに投資ノウハウを発信する人気ユーチューバーの小林亮平氏は、海外株中心の投資スタイルを提言。日本への投資を前向きに考えるには「移民の積極的な受け入れや、人工知能(AI)の活用を通じて不足する労働力を確保することが条件になる」と指摘している。
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