中国電力は島根原子力発電所2号機(松江市)を7日午後に再稼働する。2号機は2012年1月に停止しており、再稼働すれば約13年ぶりとなる。事故を起こした東京電力福島第1原発と同型の沸騰水型軽水炉(BWR)としては、東北電力の女川原発2号機(宮城県)に次いで2基目となる。
核分裂反応を抑える制御棒を引き抜き、原子炉を起動する。長期間運転を停止していたことを踏まえ、12月中旬に原子炉を止めて改めて点検する。同下旬に送電系統への電力供給を始める。原子力規制委員会の確認を経て、25年1月上旬に営業運転を再開する予定だ。
中国電は13年12月、島根2号機について新規制基準への適合性審査を規制委に申請した。原発近くの活断層の評価に時間がかかり、審査合格まで8年近くを要した。地震による揺れの最大想定値を引き上げたことなどで追加工事が発生し、再稼働の遅れにつながった。
中国電は新規制基準に対応するため、2号機関連で64項目の安全対策工事を実施した。津波対策では最大想定の11.9メートルを上回る15メートルの防波壁を建設した。重要施設への浸水を防ぐため、厚さ15〜30センチの水密扉を59枚設置した。
原子炉建屋内の重要設備については鋼鉄製の構造物による耐震補強工事などを進めた。同社は1、3号機を含めた安全対策工事全体の費用として9000億円を見込んでいる。
島根原発は国内の原発で唯一、県庁所在地に立地する。2号機は出力82万キロワットで1989年2月に運転を開始した。1号機は廃炉作業中で、2049年度の廃炉完了をめざしている。
2号機の再稼働後は建設中の3号機の運転開始に焦点が移る。3号機の出力は137万3000キロワットで、中国電は06年に本工事に着手した。現在は規制委の審査を受けている。28年度に安全対策工事を完了させ、30年度までの稼働を目指している。
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