永福町駅からピーク時間帯を避けて各店舗まで運ぶ(6日、東京都武蔵野市)

セブン―イレブン・ジャパンは6日、店舗への商品配送に鉄道を使う実証実験を10日から始めると発表した。京王電鉄傘下の京王運輸(東京都多摩市)と連携し、京王井の頭線沿線の駅構内にある3店舗向けで実施する。配送トラックの台数や運転手の労働時間の削減に加え、二酸化炭素(CO2)排出量の減少が期待できることから、他の鉄道会社との連携も視野に入れる。

京王電鉄傘下の京王ストア(同)が井の頭線沿線の駅構内で運営する3つのセブン店舗が対象となる。セブンが鉄道を使った商品配送を実験するのは今回が初めて。実験期間は現状で約半年間を想定している。

実験では京王運輸の2〜3人の配送員が、永福町駅の荷さばき場に届いた複数店舗向けのサンドイッチやサラダ、総菜、麺類などの商品を最後尾の車両に積み込む。その後、駅構内にセブン店舗のある高井戸駅や久我山駅、吉祥寺駅で降り、各店に納品する。午前と午後の1日2回、商品を配送する計画だ。

6日開いた説明会で、セブンの青山誠一取締役常務執行役員は「トラックドライバーの成り手不足などが強まる中、これまで配送回数の減少などに取り組んできた。今回は配送手段にも手を打つことを決めた」と話した。実験を受けた課題などを検証しつつ、京王電鉄の駅構内に出店している約30店に広げることを検討。その上で「将来は駅構内に店舗を持つ他の鉄道会社に広げ、鉄道配送を使うことでセブンがまだ未出店のエリアへの新規出店も見据える」と述べた。

従来のトラック輸送と比べ、鉄道輸送は環境負荷を低減する配送手段とされる。セブンは今回の実証実験の効果として、CO2排出量が通常より約15%減らせると試算する。全国に約2万1600店を持つセブンとして、環境に配慮した事業モデルの一環で鉄道配送も活用していく考えだ。

鉄道を使った輸送については、同業他社ではファミリーマートが4月、新潟県で製造する飲料水「ファミマル 新潟県津南の天然水」を対象に鉄道輸送を始めた。青森市や静岡市など4カ所の物流拠点向けに実施し、足元では鳥取県や佐賀県などに輸送地域を広げている。

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