京阪ホールディングス傘下の京阪電気鉄道は3日、国土交通相に運賃改定を申請したと発表した。安全対策などの原資になるバリアフリー料金廃止と合わせて、運賃を実質10〜60円引き上げる。車両や変電設備などの設備投資や社員の待遇改善に充てる。人口減少に対応した鉄道運行の合理化に向け、ワンマン運転の拡大やオンラインでの改札業務拠点の一元化も進める。
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改定時期は2025年10月を予定する。京阪本線では23年4月に導入したバリアフリー料金10円の上乗せを廃止する一方、全体で20〜70円引き上げる。初乗り運賃は170円から180円に、最長区間では440円から500円となる。大津線の初乗り運賃は現在の170円から200円に引き上げる。ケーブルカー運賃や「プレミアムカー」などの有料着座サービス料金は変わらない。改定率は実質12.4%、運輸収入の増収率は13%となる。
関西の私鉄では近畿日本鉄道や南海電気鉄道が23年に相次いで運賃改定を行っている。京阪電鉄の山口淳・経営企画部長は、新型コロナウイルス流行期にコスト削減を実施したものの「足元で旅客回復が一服したことで、持続可能な経営体制の構築が必要と判断した」として改定申請に踏み切った。運賃引き上げ分で「運行コストの転嫁や駅設備の刷新、人材確保にむけた処遇改善に取り組みたい」とした。
運賃改定と合わせ、省力化を進める。現在は京津線など36キロメートルの区間で実施するワンマン運転を、25年秋に京阪本線や中之島線で拡大する。無人駅での改札業務をオンラインでサポートする拠点についても、複数駅から一元化する。
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