パナソニックホールディングス(HD)とPHP研究所(京都市)は27日、創業者の松下幸之助を再現するAI(人工知能)を開発したと発表した。AIに200を超える音声資料や、言葉をまとめた書籍を機械学習させ、幸之助の頭脳や表情をよみがえらせることを目指した。質問を投げかけると、パソコンなどの画面越しに〝幸之助〟が回答する。パナHDグループの研修にいかす。
幸之助を再現するAIは質問を受けると、質問の意図や内容を考える。幸之助の過去の発言や言い回しを参考に回答をつくり、本人を模した音声で返答する。返答に際しては画面に映る幸之助の表情が変わったり、口元が動いたりする。
例えば「AIの導入で人手はいらなくなるか」と問うと、「それは一面の真実であって、全体を見渡すと少し違うんであります。AIが得意とする部分を任せることで、人間はより創造的で価値の高い仕事に集中できるようになるんであります。私が常々言うております『適材適所』の考え方に通じるものであります」などと回答する。
幸之助の研究者や本人と接したことのある関係者が、言い回しなどを検証し、修正を繰り返しながら本人に近づくよう努めた。パナHDによると、幸之助の孫にあたる松下正幸特別顧問は「声や話し方が怖いほど似ている」と感想を述べたという。
パナHDは幸之助の理念を正しく継承するための教育プログラムの一環としてグループ内で活用する見通し。人物AIの開発で得た知見をAIと暮らしを融合したサービスの開発などにいかす狙いもある。
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