決算説明会で話す日本出版販売の伊藤宏治常務(東京都千代田区)

書籍取次大手の日販グループホールディングス(GHD)とトーハンの2024年4〜9月期連結決算が出そろった。営業損益で日販GHDは赤字幅が縮小、トーハンは黒字に転換した。本業の取次事業では赤字が続いているが、IT(情報技術)事業やキャラクター雑貨の販売などが寄与し、ともに最終黒字を確保した。

日販GHDの売上高は取引書店の売り上げ減少や閉店で前年同期比9%減の1855億円だった。営業損益は2400万円の赤字(前年同期は13億円の赤字)に改善した。不動産事業が好調だったほか、出版社向けの販売管理システムなどIT事業が貢献した。子会社からの受取配当金や有価証券売却益などを営業外収益に計上し、最終損益は1億300万円の黒字(11億円の赤字)に転換した。

トーハンは売上高が微減の1891億円、営業損益は3億5200万円の黒字(1億9700万円の赤字)だった。キャラクター雑貨を扱う子会社などが好調だった。前年同期に計上した物流拠点の売却益がなくなり、純利益は83%減の2億7600万円だった。

本業である取次事業は運賃上昇の影響により両社とも厳しい。日販GHDの取次事業の経常損益は7億円の赤字、トーハンは9億円の赤字だった。両社からの要請で一部の出版社は「運賃協力金」を支払っているが、運賃の上昇に追いついていない。出版物は店頭で売れ残ると返品されるため、売り上げがたたずに輸送費などの費用だけ計上される場合もある。

特に返品率が高い雑誌では、日販GHDは25年2月までにコンビニへの配送から撤退し、トーハンが一部を引き継ぐ。取次事業を手掛ける子会社、日本出版販売の伊藤宏治常務は「4〜9月期はコンビニへの配送だけで赤字が30億円以上あった。コンビニと書店に同じトラックで配送していたこともあり、赤字がゼロになるわけではないが、少しでも縮小したい」と説明した。

一部の配送を引き継ぐトーハンでは、コンビニ向けの雑誌配送を増やしたところ、売り上げが伸びた。今後、子会社で扱うキャラクター雑貨など出版物以外の販売も検討する。

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