帝国データバンクが22日発表した全国「後継者不在率」動向調査(2024年)によると、後継者がいない企業の割合は52.1%だった。調査を始めた11年以降で最低となった。地域の金融機関やスタートアップによる支援サービスが増えたほか、M&A(買収・合併)などによる事業承継が広がった。
22年10月〜24年10月の期間を対象に、全国の約27万社の後継者や事業承継の動向について分析した。
後継者不在率は7年連続で低下した。帝国データは「官民の相談窓口が全国に普及し、(中小企業の代表者などに)事業承継の重要性が浸透した」と分析する。
すべての業種で過去最低となった。最も低かったのは「運輸・通信業」(47.2%)だった。最も高かった「建設業」(59.3%)は前年から1.2ポイント改善し、初めて全業種で60%を割った。
代表者の就任経緯(速報値)を見ると、親族ではない役員などを登用した「内部昇格」が過去最高の36.4%となった。最多で推移していた「同族承継」(32.2%)を初めて上回った。買収などの「M&Aほか」(20.5%)も前年比で比率が上昇するなど、親族にとらわれない事業承継の傾向が強まっている。
改善のペースは鈍りつつある。新型コロナウイルス禍で意識が高まり始めた20年以降、不在率は前年比で3〜4ポイント下がってきたが、24年の改善幅は1.8ポイントにとどまった。帝国データバンク情報統括部の飯島大介氏は「(さらなる改善には)人材育成や財務手続きも含め官民で支援していくことが重要だ」と指摘する。
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