アンケート調査は11月8日~12日に行われ、有効回答数は1691社。それによると、「103万円の壁」引き上げに「賛成」との回答は全体の67.8%あり、「壁そのものを撤廃すべき」の21.9%と合わせると、見直し派が9割を占めた。
年収が103万円を超えると、所得税や住民税を支払わなければならなくなる。この「壁」を超えないように、パート労働者などの間では、働き控え現象も起きて、企業の人手不足に拍車を掛けていた。ちなみに学生アルバイトの場合、収入103万円ラインは親が扶養控除を適用できるかどうかの分岐点にもなっている。
国民民主の選挙公約は、この103万円の非課税枠(基礎控除と給与所得控除の合算)を178万円まで引き上げ、手取りを増やす内容。これが支持されて、同党は先の衆院選で議席を大幅に増やしており、「壁」の引き上げに向け、自民・公明の連立与党との協議に入った。
帝国データの調査によれば、「103万円の壁を意識するパートの方が多く、引き上げれば働き控えが解消される」(飲食店)、「減税効果により消費活動が活発化する」(不動産)、「働いても税金を払うことが損になるとの風潮を感じる。103万円の壁は制度が古く、撤廃した方が良い」(情報サービス)などの意見が寄せられた。
ただ、こうした減税を賄うには財源確保や歳出カットが欠かせず、林芳正官房長官は「7兆~8兆円の減収が見込まれる」と試算を明らかにしている。帝国データの調査でも、少数派ながら「財源不足となり、増税となるのではないか」(建設)とする反対意見もあった。
また、大和総研の試算によれば、非課税枠のうち基礎控除を引き上げた場合の減税効果は、高所得者層ほど恩恵が大きくなり、「格差是正」に逆行する面がある。
年収別の減税額
年収 | 減税額 |
---|---|
200万円 | 8.2万円 |
300万円 | 11.3万円 |
500万円 | 13.3万円 |
600万円 | 15.2万円 |
800万円 | 22.8万円 |
1000万円 | 22.8万円 |
※注:基礎控除を引き上げた場合、出典:大和総研
年収の壁をめぐっては「103万円」のほかに、配偶者(特別)控除や社会保険料の支払いに関係する「106万円」「130万円」「150万円」「201万円」などの壁もある。
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