日産自動車株は一時急反発

15日午前の東京株式市場で、日産自動車株が一時前日比7%高の437円80銭まで値上がりした。市場関係者の間でアクティビスト(物言う株主)のオアシス・マネジメントが日産株を保有したと伝わった。日産株は9月末時点で他のアクティビストの保有も明らかになっており、企業統治改革を期待した買いが先行した。

日産の上場子会社の日産車体株も連れ高になる場面があった。オアシスは香港に拠点を置く投資ファンド。フジテックやDIC、小林製薬などの大株主として知られる。直近で活発に売買しており、11月に入ってからでもメルカリやコクヨなどの5%以上の株式取得を示す大量保有報告書を出した。

公式な書類でオアシスが日産株を保有したとは確認できない。ただ市場関係者は「オアシスが株を保有しているのは事実のようだ」と話した。

東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司氏はアクティビストについて「一般的に一度投資した銘柄には2〜3割の値上がり益か配当益は求める」と話した。その上で日産に対しては「今後のリストラ策をみながら、業績改善が想定より速く進まない場合は経営陣の交代を求めるのではないか」と指摘した。

日産は7月に24年4〜6月期の営業利益が前年同期比99%減の9億9500万円と発表し、経営悪化が明るみになった。主戦場の米国や中国で販売がふるわず、株価も低迷した。11月7日には全従業員の7%に相当する9000人の人員削減と生産能力の20%(約100万台)の縮小を公表した。

株式市場では12日、9月末の日産の大株主にエフィッシモ・キャピタル・マネージメントの名が新たに連なったことが材料視され、日産株は一時21%高となった。エフィッシモはシンガポールに拠点を置く旧村上ファンド出身者が創立した投資ファンドで、川崎汽船の大株主としても知られる。

複数のアクティビストからの攻勢は、日産の経営判断に影響を与える新たな材料となりそうだ。

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