人材やビジネスの俊敏性が課題に

スイスのビジネススクールIMDは14日、2024年の世界のデジタル競争力ランキングを発表した。日本の総合順位は67の国・地域の中で31位だった。前年から1つ順位を上げたものの、人材やビジネスの俊敏性といった要素で遅れており、韓国や台湾など他の東アジア諸国との差は縮まっていない。

デジタル競争力ランキングはIMDが毎年、各国の統計情報や経営層へのヒアリングに基づいて集計し、公表している。24年の首位はシンガポール、2位はスイス、3位がデンマークで、米国は4位だった。

総合順位は「知識」「技術」「将来の準備」の3つの要素で決めている。日本は「将来の準備」の順位が38位と23年から6つ下げた。ビジネスの俊敏性が他国と比べて遅れている。国際経験やデジタル技術スキルなど人材面でも課題を抱えており、「知識」は31位と3つ落とした。「技術」は26位と前年から6つ上げた。

日本の総合順位は23年まで5年連続で低下していた。官民でデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めたこともあり24年は総合順位を1つ上げたことから、低下に歯止めがかかったようにもみえる。

だが、IMDの高津尚志北東アジア代表は「上昇気流に乗ったとまではいえない」と評価する。人材やビジネスの俊敏性といった順位の押し下げ要因に変化が見られないほか、科学技術力の低下も続いているためだ。韓国(6位)、香港(7位)、台湾(9位)といった東アジアの国・地域の多くがトップ10に入り、差も目立つ。

他国との差が開き、国内労働力も減少するなか、生成AI(人工知能)など先端技術でビジネスの効率を引き上げ、これまで以上にスピード感を持ってDXを推進することが必要になる。

(杜師康佑)

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