ブックオフは複数の不正発覚を受けて再発防止策をまとめた(都内の店舗)

従業員による架空取引などの不正が発覚したブックオフグループホールディングス(GHD)は12日、経営陣の処分と再発防止策を発表した。11月から2025年1月までの月額報酬について、堀内康隆社長が30%、取締役2人と執行役員2人は10%返上する。再発防止策には店舗運営ルールや人員配置の見直しのほか、システム改修などを盛り込んだ。

ブックオフGHDは同日、「再発防止策を着実に実行し、信頼回復に向けて尽力する」とコメントした。経営陣の報酬返上で不正発生の管理・監督責任を明確にし、再発防止策を徹底する。

24年5月期の決算発表が当初予定よりも約3カ月遅れたことなどに対する経営責任を明確にするために、同期の賞与にあたる業績連動報酬も減額した。堀内社長と取締役2人の計3人は30%減額した。減額後の3人の総額は株式報酬を除き700万円だった。執行役員2人の業績連動報酬も8〜15%減額した。

ブックオフGHDでは6月までに従業員の不正の可能性が発覚し、弁護士などからなる外部専門家による調査委員会を立ち上げた。10月に調査委員会が発表した報告書によると、不正は国内26店・1部署で合計29件確認され、24年5月期までの影響額は8100万円だった。売り上げ・利益目標を達成するために、架空の取引を計上する事例があった。

調査委員会はそれぞれの不正が同じ特徴を持つものではなく、組織ぐるみの不正でもなかったことを確認した。ただ、不正の大半がここ数年に起きていることなどから、ブックオフGHDはチェック体制の強化などを盛り込んだ再発防止策をとりまとめた。

具体的には買い取りと精算を分ける業務運用に向けたPOS(販売時点情報管理)システムの改修や精算機の導入を検討する。店舗での棚卸しマニュアルの内容も見直す。監視カメラの増設のほか、業務見直しを目的とした従業員向けの定期的なアンケートを実施する。コンプライアンス研修も強化する。

不正の調査費用にあてる引当金を一括で計上したこともあり、24年5月期の連結純利益は前の期比38%減の17億円だった。25年5月期は9月からの第2四半期以降に再発防止費用の計上を見込む。

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